• このエントリーをはてなブックマークに追加

去る2017年11月24日~11月26日の2泊3日。東京と岡山に拠点を持つアパレルブランドのTake action with ふくしまのアンバサダーの方々と一緒に福島視察ツアーを行いました。充実した視察内容のレポートをお届けします。

1.Take action with ふくしまとは?
2.視察ツアーの概要
3.参加した企業とアンバサダーの紹介
4.視察ツアーの様子(初日)

1.Take action with ふくしまとは?

東日本大震災・原発事故から6年。復興に向けて、まだまだ様々な企業・団体の力を必要としている福島県と、福島に想いを寄せる様々な個人が、福島県の復興に寄与する取り組みを共創し、その輪を広げる活動としてスタートした活動が「Take action with ふくしま」です。

Take action with ふくしまでは、「できることから、楽しく、自発的に」を合言葉に、企業・組織内に所属している個人の方の取り組みを支援しています。

社会を変えるのは、1人の胸の中にある熱い想い。

福島のために何か取り組みを始めたいあなたを、福島県が公式に「企業内アンバサダー」と認定し、アンバサダーの皆様の活動を全力で応援いたします。

登録・詳しいプロジェクト内容はこちらから。

 

2.視察ツアーの概要

■日程:2017年11月24日(金)〜26日(日)
■視察目的:福島県産の素材、文化、技、自然などを各地で体験し、それらの要素を取り入れた商品企画のためのヒントを得る。
■視察先:

<1日目>

着物リメイクRin(いわき市)
いわきおてんとSUN企業組合(いわき市)
チャンネルスクエア(福島市)
結のはじまり(楢葉町) 

<2日目>

旧堀切邸(福島市)
あんざい果樹園(福島市)
歓藍社(大玉村)
蓮笑庵(田村市)
生活と工芸展(会津若松市)
ino DATE(伊達市)
グリーン奥川(西会津町)

<3日目>

西会津国際芸術村(西会津町)
生活と工芸展(会津若松市)
はじまりの美術館(猪苗代町)
福島コトひらく(郡山市)

 

3.参加した企業とアンバサダーの紹介

■アンバサダー:鎌田 安里紗(かまだ ありさ)さん

1992年、徳島県生まれ。モデル、エシカルファッションプランナー。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科前期博士課程修了。高校在学時に雑誌『Ranzuki』でモデルデビュー。エシカルな取り組みに関心が高く、フェアトレード製品の制作やスタディ・ツアーの企画などを行っている。著者に『enjoy the little things』(宝島社)。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー、JICA「なんとかしなきゃ!プロジェクト」メンバー、日本ホリスティックビューティー協会アンバサダー、People Treeアンバサダー、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。(プラチナムプロダクション公式サイトより)

 

 

■アンバサダー:布田 尚大(ふだ なおひろ)さん

1983年生まれ。一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。外資の展示会主催企業にて新規展示会の立ち上げ・企画営業・来場者プロモーションを行う。その後プロボノとして参画していたSDGsベンチャーINHEELSにCOOとしてジョイン。現在はデジタルのクリエイティブエージェンシーにも在籍し、ダブルワークを行っている。日本マーケティング学会会員。

 

 

■アンバサダー:赤澤えるさん

原宿ラフォーレに店舗を持つ「LEBECCA boutique」ブランドディレクターをはじめ、ファッションに限らず音楽や映像など様々な分野でディレクションや PR を担当しているインフルエンサー。

 

LEBECCA boutique(株式会社ストライプインターナショナル内ブランド)

コンセプトは「TOKYO RETORO」。ヨーロッパやアメリカのヴィンテージアイテムと、それらに着想を得たオリジナルアイテムに“少女感”を織り交ぜ、日本の女性に古着への新しい価値を提供するVintage Select Shopです。(株式会社ストライプインターナショナル公式サイトより)

 

 

■アンバサダー:大釜 翼(おおかま つばさ)さん

「リバースプロジェクト」の子会社「リバースプロジェクトストア」代表。リバースプロジェクトストアで扱う商品のバイヤー、プロデュース、デザインなどを手掛ける。

 

株式会社リバースプロジェクト

私たちリバースプロジェクトは、人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、 未来における生活を、新たなビジネスを通して提案しています。 代表・伊勢谷友介のもと、様々な才能を持ったアーティスト・プロデューサーが集結し、2009 年に設立されました。衣、食、住の三分野のみならず、教育・芸術・まちおこしといった分野において、社会課題の解決をクリエイティブな視点から試みています。さらにクライアントのCSR活動と連携を図りながら、人々の経済活動が大きな理念のもとにシフトしていくことを目指しています。 (公式サイトより)

 

 

■アンバサダー:山脇 耀平(やまわき ようへい)

EVERY DENIM 共同代表・兄

1992年生まれ。大学休学中の2014年、実の弟とともに「EVERY DENIM」を立ち上げ。1992 年生まれ、オリジナルデニムの販売やスタディツアーを中心に、生産者と消費者がともに幸せになる、持続可能なものづくりのあり方を模索している。繊維産地の課題解決に特化した人材育成学校「産地の学校」責任者。

 

EVERY DENIM

デニム産業の集積地、瀬戸内で、当時大学生の兄弟2人で立ち上げた国産デニムブランド。その活動は『ガイアの夜明け』でも話題となり、最近は、キャンピングカーで全国各地を訪問して直接デニムを販売する新たな小売形態に挑戦するため、クラウドファンディングで7,760,800円を集めた。

  

 

■松田 崇弥(まつだ たかや)、松田 文登(まつだ ふみと)

自閉症を持った兄(翔太)の下で育った一卵性双生児。障がいを敢えて個性・クリエイティブ力の高い絵筆と言い切ることで、違う視界から、違う世界を、社会に向けてプレゼンテーションすることを目指して MUKUを立ち上げる。

 

MUKU

MUKU とは、“ 知的障がい者と社会の橋渡し” をテーマに、知的障がい者の方々が描く感性豊かな作品を我々が再編集し、プロダクトとして世の中に提案していく活動です。生まれたプロダクトをM U K U プロジェクトが、 映像、イベントなど、様々な手法を用いてP Rしていきます。 知的障がいを持つ方々が生まれながらに持つクリエイティビティを徹底的にブランディングすることで、社会に新しい価値の提案を目指します。

 

 

4.視察ツアーの様子

24日の朝、いわき市に集合した視察メンバー。1人は岩手県から、その他の皆さんは東京から。朝5:30に集合して出発してきてくださいました。アンバサアダーの皆さん同士は元々面識があったことと、事務局とも事前の打ち合わせなどでお話をしていましたので、和やかなスタート。

まずはツアーのスケジュールと訪問先の確認です。

せっかくなので「旅のしおり」をつくってみました。

 

 

最初の訪問先は、いわき市のショップ「着物リメイクRIN」。2015年に、主婦だった鈴木ひろみさんが立ち上げた、着物をリメイクした洋服や小物を販売するお店です。ひろみさんは、たまたまお店で見かけた1枚のスカートをきっかけに、洋裁は全くできないにも関わらずお店を立ち上げたパワフルな女性。経営も未経験だったそうですが、羽田空港にも店舗を出したり、大手の酒造メーカーとのコラボが決定したりと、事業を拡大しています。お店のアイテムは、洋裁以外にも柿渋染めや一閑張りなど多彩。その理由は、作り手には地元のお母さん達を採用し、それぞれが得意なものを作っているからだそうです。今の課題は、もっと世界への販路を築くこと。「ターゲットは世界。」「福島のイメージを変えたい。」ときっぱりと言い切るひろみさんの表情がとてもかっこよかったです。

 

 

 

 

次の訪問先は、震災後に使われなくなってしまった農地を利用してオーガニックコットンの生産と商品化を手がける「いわきおてんとSUN企業組合」です。コットンお話をしてくださったのはオーガニックコットン部門代表の酒井さん。震災から今日までの経緯、綿花づくりや販売を通して思うことを静かな口調ながら熱く誠実に語ってくださいました。今の課題は綿花の生産量を増やし売上を増やすこと。そのためには、商品のストーリーに共感し購入する個人が増えることが必要、とのことでした。コットンはあくまでも農作物なので、1年に1度しか収穫できず天候にも左右されます。そこからさらに糸にして布にして製品にするまでにも手間やコストはかかります。昨今はファストファッションが溢れ安く洋服が買える時代ですが、高いものにも安いものにも、その値段の背景には何かがあるはず。そこに思いを馳せてみるだけで変わることがるのではないでしょうか。

 

(左側でお話してくださっているのが酒井さん)

 

 

ちなみに、この時、地元新聞の福島民友さんと福島民報さんが取材に来てくださいました!

掲載された記事はこちらです。

 

福島民報

福島民友

 

初日最後は、男性陣は福島市へ移動して「CHANNEL SQUARE」を訪問。こちらは、震災後に放射線の影響で屋外で遊ぶことを制限されてしまった子供達のために、屋内で思いっきり遊ばせてあげようと2015年に作られたインドアパークです。スノーボードやサーフィンなどいわゆる「ヨコノリ」スポーツを愛する人たちのネットワークで作られたこともあり、スケートボード、ボルダリング、スラックラインなど、エクストリーム系スポーツが練習できます。最近は五輪競技に選ばれるなど注目度が上がっていて、この日も多くの子供達が練習していました。お話を伺った代表の平学(たいらまなぶ)さんは、男も惚れる熱い人。視察のメンバーもすっかり惹き込まれていました。平さんが話してくれたのは今後の福島の観光構想。二本松市のあだたら高原のリゾートエリアを拠点に、海外からエクストリーム系スポーツが好きな人たちが集う一大リゾートにしよう、というものです。震災後に海外からの観光客が激減した福島ですが、豊かな自然を生かしたエクストリーム系スポーツについては、大きな世界大会が開かれていたりと、実は質・量ともに世界からも高い評価を受けています。そんな強みを生かして、世界から愛好家や観戦者が集うような聖地にしようという目論みです。アパレルや音楽とも親和性が高いため、競技だけでなく、カルチャー全体を巻き込んだ動きが期待できます。その熱いエネルギーで行政をもどんどん巻き込んでしまう平さんの今後の活躍に期待です。

(下段中央が平学さん)

オマケ:スラックラインに挑戦。奥でつま先立ちしているのはCHANNEL SQUARE所属の小学生!

 

 

同じ頃、女性陣は楢葉町の小料理屋さん「結のはじまり」へ。こちらは、千葉県出身の古谷かおりさんが、避難解除で帰還した町民と復興事業に携わる新しい住民との関係づくりを目指して、今年8月に開いたお店です。地元の出身でもなく、安全面や採算面でも多くの反対を受けながらも、強い決意でお店を開いた美しくも力強い女性の姿を取材させていただきました。原発の影響は、産業の衰退や人口の流出などの経済面だけでなく、住民や復興に携わる人々ひとりひとりの人間関係や足元の生活にも及びます。様々なステージで、様々なカタチでの支援が考えられるのですね。

 

(上の女性、中央が古谷かおりさん)

 

この日の宿泊は飯坂温泉。遅い時間にも関わらず美味しい食事を用意して待っていてくださいました。

 

こうして福島の地酒とともに夜は更けていきました。

2日目のレポートに続きます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加