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2018年2月28日、「ニュー新橋コワーキング」にて、Take action with ふくしま第6回アンバサダーミーティングを開催しました。当日の模様を報告いたします。 

  1. Take action with ふくしまとは?
  2. 当日の模様
  3. 参加者の声
  4. 今後の予定

1.Take action with ふくしまとは?

「Take action with  ふくしま」は、首都圏の大企業若手中堅社員やベンチャー起業の経営幹部層が、所属企業内で、自発的な本県復興に取り組むきっかけ創出と本県応援の機運を醸成することで、企業が組織として行う本県の復興支援活動を増加させるプロジェクトです。

東日本大震災・原発事故から6年。復興に向けて、まだまだ様々な企業・団体の力を必要としている福島県と、福島に想いを寄せる様々な個人が、福島県の復興に寄与する取り組みを共創し、その輪を広げる活動としてスタートしました。

主な活動は、ファンコミュニティの形成と、企業・団体への活動支援の2つ。そのうち、アンバサダーミーティングは、オフラインでのファンコミュニティ形成の手段として、全7回の開催を予定しています。

登録・詳しいプロジェクト内容はこちらから。

 

2.当日の模様

会場は、新橋駅前にある「ニュー新橋コワーキング」です。

今回のテーマは「福島での旅・研修」。はじめて参加する方に加え、1月に行った浜通りツアー参加者のうち6名が、さらにはツアー参加者がその後に開いた勉強会で「Take action with  ふくしま」を知ったという方もいて、全部で16名での開催となりました。 

まず前半は、3名のゲストからそれぞれの自己紹介と、それぞれの活動にまつわる課題をプレゼンテーションをしていただきました。

まず1人目のゲストは、第1回アンバサダーミーティングにもご登壇いただいた、公益財団法人福島県観光物産交流協会の支倉文江(はせくらふみえ)さん。福島県内の旅行会社から財団法人に出向して、「ホープツーリズム」という、福島だからこそできる新たな旅の在り方について模索されています。

支倉さんは、もとは福島交通株式会社に所属されており、その時から地元のNPOと組んだ「ふくしま復興かけはしツアー」を実施していました。その後、ツアーを福島ならではの学びを得られる教育旅行に進化させ、それらを「ホープツーリズム」と名付けました。

特に、「来て、見て、考える。」をテーマにした高校生向けのプログラムは大変評判が良く手応えがあるそうです。プログラムを通して「福島を他人事から自分事にしてもらう。そのきっかけは来てもらう事。」と考えています。

次の課題は、現在は高校生向けに開催している研修を、企業に展開すること。

現時点で考えている案は

1、ふくしまで挑む、感じる、創る、事業創出イノベーションリーダーズキャンプ。
2、福島第一原発事故から学ぶ危機管理マネジメント

とのことですが、「他にはどんな切り口や企画があるか」が課題です。

 

続いて2人目のゲストは、 1月の浜通りツアーでもアテンドをしてくださった、押田一秀(おしだかずひで)さん。震災直後から相双地域(相馬地域・双葉地域)に入り、2011年3月14日、各種アーティストのパフォーマンスにより被災地に笑顔を生み出すコミュニティ支援活動「RESMILEPROJECT」を設立したほか、復興支援センターMIRAI所長、 NPO法人相馬はらがま朝市クラブ理事として、地元に密着すると同時に“よそ者”の観点を重視したニーズ/シーズの見極めを行い、地域産業育成やNPO団体と行政の連携強化に尽力されています。

押田さんからは、まず、福島県全体の観光の状況と、相双地域の比較が出されました。

現在、福島県全体の観光は、およそ震災前のレベルに戻っていると言えますが、それは会津地方の好調に支えられているのが現実で、相双地域を含む浜通りは、決していい状況とは言えません。除染作業員などが増えたことで、一時的な流入人数は増えましたが、それも除染が進むにつれて減っているのが現状です。

では、これからどうすべきか?カテゴリーごとにみてみると、

教育旅行:もともと割合は少ないがコンテンツを整えれば可能性があるのでは?
企業研修:世界一課題が多い地域であり、魅力的なコンテンツが作れそう
インバウンド:もともと低い。内堀知事も強化すると宣言しているが伸びていない。ただニーズはありそうだし伸ばすべき。他言語対応、wi-fiなど地域側の苦手意識が強いことが問題。なお、インバウンドは県全体では81.8%回復しているが、日本全国では279%の伸びなので機会損失が大きかったと考えるべき。

これらを踏まえて、課題は「どうしたら相双地域に人が呼べるか?」です。

 

3人目のゲストは、昨年11月のアパレルメーカー視察ツアーに参加し、他の企業との橋渡しもしてくださった布田尚大(ふだなおひろ)さん。現在は、エシカルファッションブランドINHEELSのCOO、など、主にエシカルファッションの領域で多方面に活躍されています。

布田さんはこれまで、さほど福島に関わっていたわけではなく、エシカルファッションなどのソーシャルな活動や、企業活動とデザインとの融合をテーマにしたいろいろな仕事をされています。その中で、Take action withふくしまの代表・小笠原と同級生だった縁で、昨年11月にソーシャルな活動をしているアパレルブランドの仲間に声を誘って福島への視察旅行をしました。旅行のあと、参加者同士が同じものを見ていても、人によって全く違う感想や感動を持っていたり、ツアーをきっかけに新たなコミュニティができたり、新たなプロジェクトが生まれたり、という多くの気づきがあったそうです。そこで、クリエイターにフォーカスした福島旅行「クリエイターと行く『服島』ツアー」を企画、今年8月の開催を予定しています。このツアーは、福島県でなければいけない必然性はないかもしれないけれど、「福島」に何らかの関心を持つような人たちだからこそ仲間になりたい、という指標やアンテナとして、福島をとらえているところが、これまでにない切り口です。加えて、1982年に川久保玲が、コムデギャルソンで破れた服をパリコレで発表した時のことを例にあげ、この時の服が「原爆の悪夢から抜け出してような服」と評されたように、悲劇的な現実は、新たなクリエイションを生む材料となる可能性があり、このツアーはそのようなきっかけになることも目指している、とのことでした。

それを踏まえて、「『服島』ツアーではどこに行き、何をしようか?」が課題です。

 

課題のおさらい

支倉さんチーム:企業研修の新たな切り口は?

押田さんチーム:相双地域に人を呼び込むにはどうしたらいい?

布田さんチーム:「『服島』ツアー」でどこに行き、何をする?

 

後半は、参加者が各自興味のあるテーマに分かれ、アイディアを出し合い、各チームごとに発表をしてもらいました。

支倉さんチームは女性の参加者が多かったこともあり、感性豊かな発想が多かったようです。

例えば、豊かな自然環境を生かしたり、共同で作業をすることなどの、「五感」や「感性」を刺激されるような体験を通して、コミュニケーション力を高めたり、想像力や創造力を高める研修、という提案がありました。たしかに最近は、ダイヤログインザダークに代表されるような、五感を刺激する研修が増えていると聞きます。もっと刺激的な意見としては、「野生」を取り戻す旅、という提案も。例えば南会津は97%が森林で自然の中で生活するのが当たり前なので、それらの体験を通して「野生」を身につければ、どんな仕事でも乗り越えられる、というものです。知らない国に行くと「チェーン店が安心する」ように、人は見知らぬ場所や初めての体験に戸惑いがちですが、「野生」はそれらを超える根本的な能力につながるのかもしれませんね。 

押田さんチームは、大学生の大野木さんが、集客のカテゴリーごとにアイディアを発表してくれました。

・国際会議の誘致→ テーマは環境問題や原発関連、モーターショー、ダボス会議ならぬ相馬会議!?だとしても交通の便が悪いので解消する必要がある。
・インバウンド→ ニッチなマーケットでもいいからアンバサダーを育てクオリティの高い発信。例えばマイナースポーツは日本では知られていなくても海外では人気のものもある。
・学生を呼び込む→ 社会貢献意識の高い学生が活躍できる場を地域で用意する。海外の大学とのコラボで国際交流ができるなどの魅力があれば集まるのでは。
・事業をしたい人が事業できる環境にすることで、フロンティアになる。

実際に、福島はエビスサーキットがインバウンドに人気だったり、エクストリーム系スポーツが盛んな地域ですので、スポーツをきっかけとしたインバウンド集客は十分に可能性があると感じました。また、社会貢献意識や起業家精神の強い人にとって福島はとても魅力的な場所、というのもこれまでのアンバサダーミーティングでもしばしば登場した話題です。ぜひこのような側面が全国的に知られてほしいと願います。

布田さんチームは、布田さんが最も印象的だったアイディアを発表してくださいました。

原発や除染の作業員は、どうしてもガタイのいい怖い印象の方が多いのですが、その方々の制服をデザインすることで印象が変わったり、かわいいデザインをきっかけに地元の人とのコミュニケーションが生まれたりするのではないか、というもの。クリエイターツアーならではの取り組みですし、服がコミュニケーションを生む、というのは、きっと多くのクリエイターの方々が目指すところなのではないでしょうか。

また、1月の浜通りツアーに参加された中川さんからは、「福島=原発」という印象になってしまうけれど、原発以外の福島も見て欲しいし、「何もない」とよく言われるけれど、そこから何かを発見する旅もいいのではないか、江戸時代、炭鉱、ハワイアンズなど福島の歴史を辿ることもできる。などなど、たくさんの切り口が提案されたことを伝えてくださいました。 

どこのチームも話題やアイディアが尽きず、あっという間の2時間だったようです。

その後、ワークショップの盛り上がりそのままに、福島の地酒を囲んでの懇親会。今回は、美味しいネギを味わってほしくて、まさかの鍋を持ち込んですき焼きまで用意してしまいました(笑)

もちろん、地酒も。右から2番目のラベルの無いものは、事務局メンバーが仕込んだもの!

いつも大好評のおつまみもたくさん用意しました。

その後も、議論の続きをしたり、他のチームの方と交流を深めたりと、多いに盛り上がりを見せていました。

参加者の皆さん、おつかれさまでした。そしてありがとうございました。

 

3.参加者の声

ミーティング後のアンケートでは、回答していただいた15人のうち全員が「非常に満足」「やや満足」と回答。また、今後やりたいことして、「産直市の開催」「事業創出」「動画制作」など具体的な宣言が何人もの方から見られ、その点でも成果が大きかったと思います。実際に最前線で活動している方と、少人数で議論ができたことが効果的だったのかもしれませんね。中には、小高地区での事業(お母様が経営するニットのお直し工房を作る)に早速取り掛かりたいというご相談もあり、得るものの大きい時間となりました。

 

4.今後の予定

次回はいよいよアンバサダーミーティング最終回です。

・3月31日(土)第7回アンバサダーミーティング【報告会】 開催

 

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