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2018年3月31日、原宿スペースにて、Take action withふくしま第7回アンバサダーミーティング【2017年度最終報告会&アンバサダーパーティ】を開催しました。当日の模様を報告いたします。

  1. Take action with ふくしまとは?
  2. 当日の模様
  3. 参加者の声
  4. 今後のTake action with ふくしま

1.Take action with ふくしまとは?

「Take action with ふくしま」は、首都圏の大企業若手中堅社員やベンチャー起業の経営幹部層が、所属企業内で、自発的な福島県復興に取り組むきっかけ創出と福島県応援の機運を醸成することで、企業が組織として行う福島県の復興支援活動を増加させるプロジェクトです。

東日本大震災・原発事故から2017年で6年。復興に向けて、まだまだ様々な企業・団体の力を必要としている福島県と、福島に想いを寄せる様々な個人が、福島県の復興に寄与する取り組みを共創し、その輪を広げる活動としてスタートしました。

主な活動は、ファンコミュニティの形成と、企業・団体への活動支援の2つ。そのうち、アンバサダーミーティングは、オフラインでのファンコミュニティ形成の手段として、全7回の開催を予定しています。

登録・詳しいプロジェクト内容はこちらから。

2.当日の模様

Take action with ふくしまでは、2017年7月から全7回のアンバサダーミーティングを予定しており、今回はいよいよその最終回です。なお、これまで開催した6回のテーマは以下のとおりです。

第1回 2017年7月17日 基調講演とワークショップ

第2回 2017年9月1日  福島の食

第3回 2017年9月22日 実際に開発中の商品をいかに企業の社員食堂に導入するか

第4回 2017年10月13・14日 番外編「ふくしまフェス2017」

第5回 2018年1月6・7日 福島浜通りツアー

第6回 2018年2月28日  福島における旅・研修

 

さらにTake action with ふくしまでは、この1年間、福島に想いを寄せる企業・団体の福島県への支援やコラボレーションのプロジェクトをサポートしてきました。そこで、最終回となる今回のアンバサダーミーティングでは、これまで行ってきたプロジェクトの事例報告会とアンバサダーパーティを開催することになりました。会場は、原宿にある「原宿スペース」です。春休みの土曜日、桜も満開となった快晴ということもあって、原宿の街はとても賑わっていましたが、そんな若者達を尻目に28名の皆さんが集まりました。

 

<名称>Take action with ふくしま 2017年度成果報告会&アンバサダーパーティ

<日時>2018年3月31日(土)14:00〜18:30

<場所>原宿スペース2F

<内容>
 13:30~14:00 開場、受付
 14:00~14:10 オープニング・主催者ご挨拶
 14:10~14:20 1年間の活動報告、Take action with ふくしまの趣旨説明
 14:20~15:10 基調講演
        登壇者:開沼博さん『福島の現状、そして県外の人が福島のためにできること』
 15:10~15:20 休憩
 15:20~16:20 アクションを起こしたアンバサダーによるアクション報告等
 16:20~16:30 主催者より御礼と、次年度へのさらなるアクションのお誘い
 16:30~16:40 エンディング、アンケート記入
 16:40~18:30 懇親会(アンバサダーパーティ)
 18:30      終了

 

<ゲストプロフィール>
開沼 博さん  公式ホームページ

現在、
立命館大学衣笠総合研究機構准教授(2016-)。
東日本国際大学客員教授(2016-)。
福島大学客員研究員(2016-)。
経済産業省汚染水処理対策委員会多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会委員(2016-)。
Yahoo!基金評議委員(2015-)。
楢葉町放射線健康管理委員会副委員長(2015-)。
経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員(2014-)。

これまでに、
福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(2012-2016)
早稲田大学文化構想学部非常勤講師(2014-2015)。
読売新聞読書委員(2013-2014)。
復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員(2013-2014)。
福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバー(2011-2012)。
等を歴任。

1984年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。著書に『福島第一原発廃炉図鑑』(太田出版、編著)『はじめての福島学』(イースト・プレス)『漂白される社会』(ダイヤモンド社)『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久氏との共著)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。学術誌の他、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。

第65回毎日出版文化賞人文・社会部門。
第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
第6回地域社会学会賞選考委員会特別賞。
第36回エネルギーフォーラム賞優秀賞。

 

報告会は、事務局の小笠原からのご挨拶に続いて、開沼博さんの貴重講演から始まりました。テーマは『福島の現状、そして県外の人が福島のためにできること』です。開沼さんのお話では、福島にとっては「買う・行く・働く」だけでなく「正しく知る」ことも大きな支援である、として、農業、漁業、観光業など、いろいろな産業の現状と今度の課題を紹介してくださいました。いずれも、県外に住む方々の一般的な知識と実態にはギャップがあることが多く、ネガティブな印象を持たれているケースが多くあります。そのため、正しく数字を捉え、スティグマ(負の烙印)やステレオタイプを払拭することが、支援の第一歩になります。さらに、このように関心・関与を持つ人=「関係人口」が増えることが、福島の復興に重要な役割を果たす、といった話がありました。

福島に関心を持っている方でも、「現在の県外移住人口の割合は?」「漁業の復旧具合は何割?」などあらためて聞かれてしっかりと答えられる人は少ないと思います。「なんとなく不安」「なんとなく大変そう」と感じる人に、「●●%」「●●円規模」「次の課題は●●」と明確に答えられることは、強い武器になりますよね。「自分の力なんて微力だから」と思わずに、ぜひ多くの方に「関係人口」になってほしいです。(開沼博さんの著書『はじめての福島学』は文章もわかりやすくおすすめです。)

 

続いては、この1年間福島県とともに支援やコラボのプロジェクトをしてくださった企業・団体20のうち、代表して以下の5件の皆さんにご報告をしていただきました。

MUKU 共同代表 松田崇弥さん 「はじまりの美術館」アーティスト作品の商品化・販売

・株式会社drapology 代表 布田尚大さん クリエイターと行く福島ツアーの企画

KF-Works株式会社 代表 工藤宏樹さん 「東北応援 うまいもん祭り」の開催

株式会社JTB 国内事業本部観光戦略チーム 矢吹信幸さん るるぶキッチンでの福島のおつまみ提供

笑むすび∞ 代表 山田みきさん 上映会「生きてこそ」の開催

 

MUKUは、知的障がいを持つ方々独特のアート(アールブリュット)を商品に展開することで、彼らの自立を支援するプロジェクトをしています。そこで、猪苗代町でアールブリュットを中心とした展示を行っている「はじまりの美術館」と組み、新しい商品の開発、ツアーの企画、イベントの開催などを行うことなっています。実際の商品が見られるのはこれからになりますが、今回の出会いが、福島だけでなく、アートの世界にも話題を起こしそうな予感がします。

株式会社drapologyの代表布田尚大さんは、もともと福島にはさほど縁を持っていなかったそうですが、事務局の小笠原と同級生だったことをきっかけに、MUKUを含むアパレル関係の仲間に声をかけて福島への視察ツアーを実施しました。その時の関係者が、MUKUの他にEVERY DENIMLEBECCA boutiqueリバースプロジェクトと、アパレルの中でも現代をリードするソーシャルな活動をされている面々。視察後、それぞれがそれぞれの方法で福島との取り組みに動いてくださっています。そして布田さん自身も、視察に同行したモデルでエシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さんと福島へのツアーを企画しています。このツアーは、鎌田さんを含む3人のクリエイターとともに福島県を巡り、新たなクリエイションを生み出すことを目的としたもの。ポイントは、特別な意味を持ってしまった「福島」だからこそ、そこに共感し話題にし合えるような人と繋がりたい、という「指針」としての「福島」。そして傷を負ってしまった土地だからこそ生み出されるクリエイティブがあるのではないか?という発想です。一般的な「支援」や「魅力発信」とは違う、新しい角度でのアプローチは、多くの参加者にとっても新しい発見だったようです。ツアーは8月を予定しています。そこからまた新たな科学反応が生まれることも期待できそうです。

KF-Works株式会社は都内にあるIT企業ですが、会津出身の社員がいる縁で「酒販事業」も行っています。(ちなみに工藤社長の奥様が、”モスクワ生まれ会津育ち“パスコ・エレナさん。第2回アンバサダーミーティングでも自社のお酒を紹介してくださいました。)そこで、会社がある中野区の「なかの里・まち連携」の仕組みを利用し、喜多方市と連携した「東北応援 うまいもん祭り」を4月7日(土)・8日(日)中野セントラルパークで開催することにしています。KF-Worksでは会津の峰の雪酒造が製造する蜂蜜酒「会津ミード」を販売し、他にも福島県産品のブースが出店する予定です。工藤社長の商品PRに対する温かくも厳しい視点は、福島に限らず地方が補助金に頼らず自活していくために必要なものだと思います。ご興味のある方は、ぜひ「東北応援 うまいもん祭り」に足をお運びください。 

株式会社JTBの矢吹さんからは、11月24日に「るるぶキッチンAKASAKA」を含む赤坂バル横丁の全店舗で行った『東北復興プレミアムハッピーアワー in 赤坂バル横丁』を報告していただきました。きっかけは経団連の被災地復興支援「東北復興応援フェスタ」の呼びかけに賛同したものだったそうですが、ご担当の矢吹さん自身が福島県の出身でもあったことから、福島の時酒や県産品や提供するイベントにしたそうです。イベントは非常に好評だったとのことで、いずれまた開催を見込んでいるとのことです。「JTB」というと、やはり旅行会社なので、旅行商品の開発というアイディアがすぐに頭に浮かんでしまいますが、実際にはJTBでは、地方に関心を寄せるまさしく「交流人口」を増やす使命を感じているとのこと。(ホームページに掲げられた”未来をうごかす「交流創造」”というコピーを読んで、なるほどと思いました。)今回のような飲食での支援やPR活動というのも重要な活動なのですね。企業によって様々な支援の方法があることを改めて認識しました。

最後に登壇された笑むすび∞の山田みきさんは、第5回アンバサダーミーティング浜通りツアーの参加者のおひとり。会津の米農家の出身ということもあり、笑むすび∞では、“OMUSUBIで地球を結ぶ”を合言葉に、会津の米と東北の食材を使ったおむすびのケータリングやワークショップなどを行っています。この4月から、大正大学の構内で常設店を始める縁で、お店を会場とした勉強会を始めようと考え、第1弾として3月25日にドキュメンタリー映画「生きてこそ」の上映会を開催しました。「生きてこそ」は山田さんのお祖母様で会津の語り部・山田登志美さんを追ったもので、米作りのこと、震災のこと、原発被害のことなども話題に盛り込まれています。短い準備期間でしたが、昼の部・夜の部ともに熱いエネルギーが充満する会になったそうです。その後の懇親会では、笑むすび∞のおむすびも振る舞われ、参加者にも大好評でした。

他にも多種多様な企業・団体から、多種多様な側面での支援やコラボプロジェクトがあり、改めて、多くの方々が福島県に熱く強い想いを寄せてくださっていたこと、企画の実現に向けて尽力・奔走されていたことを知ることができました。

全5名様からの報告の後、開沼さんからの講評、福島県庁広報課課長の鈴木からの挨拶をもって報告会は終了となりました。

なお、今回登壇が叶わなかった他の15件のプロジェクトは以下の通りです。

株式会社丸善ジュンク堂書店/「ふくしままっぷ」と福島県とのコラボフェア開催

株式会社ビームス/福島県×BEAMS「ふくしまものまっぷ」の開催

株式会社阪急阪神ホテルズ/チャリティカフェにおける県産品を使ったスイーツの開発

特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International福島県産りんごを使ったドライフルーツの開発

日本コカ・コーラ株式会社福島県産りんごを使ったドライフルーツの販売

ソフトバンク株式会社福島県産りんごを使ったドライフルーツの販売

青山大学TsunAGUボランティア愛好会福島県産りんごを使ったドライフルーツの販売

株式会社エイチ・アイ・エス/大学生向けのスタディツアー組成

LEBECCA boutique株式会社ストライプインターナショナル)/福島を舞台にしたZINEの製作

株式会社リバースプロジェクト/上記ZINEのPR支援

EVERY DENIM/会津木綿を使った新製品の開発

東京商工会議所/福島県地域視察旅行

株式会社大塚商会/社内イントラネットでのクーポン配布

文化シヤッター株式会社/社内イントラネットでのクーポン配布

三菱マテリアル株式会社/福島県産品の社員食堂への導入

報告会のあとは、懇親会(アンバサダーパーティ)です。今回は最終回ということで、お酒は豪華に10種類の日本酒と、KF-Worksの工藤社長が持ち寄ってくださった会津ミードをご用意しました。おつまみも川俣シャモやキノコのソテー、野菜を使ったサラダなど17種類。さらに、前回のアンバサダーミーティングに引き続き「ネギが主役のすき焼き」も!笑むすび∞のおむすびも加わって食べごたえもたっぷりでした。

おしゃべりや情報交換も進んだようで、また次のプロジェクトの芽も生まれたかもしれません。

3.参加者の声 

終了後のアンケートでは、すべての方が「満足した」という回答で、有意義な時間となったようです。やはり開沼さんのお話は具体的で惹き込まれたという声が多かったことと、布田さんが発表したクリエイターツアーは、新しい発見になったというコメントが多かったようです。また、参加者自身もまた何か新しいプロジェクトを始めたい、という声も数件あり今後の展開も楽しみです。

4.今後のTake action with ふくしま

Take action withふくしまの事業は2018年度も継続予定です。
詳細が決まりましたら、またWEBサイトなどで告知させていただきます。


 

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