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ふくしま復興塾で、福島での出会いが加速する! これから福島へのUIターンを考えている人へ

山田 純
クアルコム特別顧問
会津電力株式会社代表取締役副社長

昭和49年福島高校卒業。昭和53年東京大学工学部卒業後、松下通信工業(株)に入社。
平成10年クアルコムジャパン(株)の設立に当り入社。
標準化活動、新技術開発、通信事業者及び携帯端末メーカーへの技術支援などを担当。
平成17年3月より代表取締役社長を経て、平成24年5月より特別顧問。
平成25年8月より、会津電力株式会社の立ち上げに参画し、代表取締役副社長を務める。

菅家元志
株式会社Plainnovation代表取締役社長

1987年 福島県郡山市出身
2013年 慶應大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程終了
2013年 株式会社Plainnovation(プレイノベーション)設立、代表取締役社長

現在は、幼児向け知育アプリや子育て情報サービスの開発運営、子ども支援・子育て支援関連の新規事業コンサルティング等を幅広く手掛ける。

浜中圭助
有限会社イタクラ

東京都東村山市出身
2013年 東京経済大学 卒業
2015年1月 株式会社アールラーニング退職
2015年2月より福島市に移住
仕事の傍ら、浪江町の避難者の方にタブレット講習会を実施

佐藤達則(モデレーター)
ふくしま復興塾実行委員会事務局(一般社団法人ふくしまチャレンジはじめっぺ内)

1987年1月 福島県福島市生まれ。福島県立福島高校を経て、東京大学教育学部を卒業。
2009年よりアクセンチュア株式会社の経営コンサルティング部門に所属し、主に人事領域のコンサルティングを担当。
2012年4月からは、アクセンチュア福島イノベーションセンターにて福島でのCSRプロジェクトの立ち上げに従事。
2012年11月より、ふくしま復興塾の立ち上げに参画し現職。

2015年6月14日に東京都千代田区で行われた、「ふくしま復興塾第3期募集説明会 -東京から福島の復興や地方創生を考える講演会-」のパネルディスカッションを掲載します。 

【目次】

■震災をきっかけに運命が変わった -登壇者の自己紹介-

■ただのボランティアから社長へ -福島で事業をしている理由-

■「復興」という枕詞はもういらない -質疑応答-

 

震災をきっかけに運命が変わった -登壇者の自己紹介-

佐藤達則(以下、佐藤と略):それでは、菅家さん、浜中さん、山田さんお願いします。参加者の皆さんの関心領域も含めて話す内容も変えていきたいと考えています。皆さんの中で福島というキーワードを見てご参加されたかたはいらっしゃいますか?それでは地方創生というキーワードに関心のあるかたはいらっしゃいますか?あとは、UIターンのキーワードに関心のあるかたはいらっしゃいますか?UIターンのキーワードに関心のあるかたはいらっしゃらないようなので、「福島」「地方再生」という観点から話をしていきたいと思います。

それでは、登壇者のみなさんには自己紹介を兼ねて震災前にしていたことや、今現在していることを簡単にお話して頂きたいと思います。菅家さんからお願いします。

菅家元志(以下、菅家と略):こんにちは!私は菅家元志と申します。生まれが福島県郡山市です。高校まで郡山市で大学から東京に上京しました。震災時は東京の学生でしたので、ボランティアをしながら福島大学でインターンシップを始めました。その中で子どもに関わる事業をやりたいと思い、株式会社プレイノベーションを立ち上げました。郡山市、伊達市、いわき市などでNPO法人を中心としたコンサルタントもしています。

福島県は、震災を通じて「あそび」とはかけがえのないものだったと感じた地ではないかと思います。だからこそ福島で遊び豊かな活動をしたいなと思い、とりあえずやってみようと会社を起業しました。

特に力を入れているのが、子ども用お絵かきアプリ「マジコレ」です。

お絵かきという「あそび」を通じて子どもたちの傷を癒し、家族が繋がるきっかけになるという価値を再確認したためスタートいたしました。自分自身も子どもの頃、お絵かきボードが好きで、こうしたものを作れないか、そこにデジタルを加えられないかとして立ち上げました。

2014年12月にリリースしまして、お絵かきコンテンツが日本で最多数のお絵かきアプリになりました。色々なサービスを兼ね備えておりまして、母の日や父の日のプレゼントを「マジコレ」のアプリで描いて、それを富士ゼロックスさんと協力して出力し、プレゼントするというサービスを行ったり、描いたものをぬいぐるみとして届けるサービスを行っております。

また、福島県内のカーディーラーさんとタイアップして、描いた車が大きくなりリアルになるというサービスをしています。今後も「あそび」をもっと自由にしていき、その切り口にテクノロジーを活用することでアナログとデジタルを融合した新しいサービスを企画していきます。

最後に福島の面白いところを言わせて頂くと、ハリケーンカトリーナによる被害を受けたニューオリンズでは5年目以降に起業率が増えた地域として全米で注目されています。福島も時期としてそうした機運が出てきているのではないかと感じます。そうした時にコミュニティや繋がりは大切なので、復興塾で山田さんの様な熱い大人の方々と浜中君の様に同世代と一緒にチャレンジできるというのが、新しい価値を見出すうえで大切だと思っています。

浜中圭助(以下、浜中と略):私は東京の東村山市出身で、東北とは縁もゆかりもない人間です。震災後からボランティアで被災地案内をしておりまして、あとは仮設住宅で高齢者のかたとお花見に行ったりマッサージをしたりという活動をしておりました。2013年に大学を卒業したのですが、その段階で本当は福島に行こうと思っていました。東北を見ていて思ったことはITが弱いということですが、僕自身もITが弱かったので、この状態で福島へ行っても出来ることは少ない思い、ITベンチャーに就職いたしました。そちらでプログラミングをさせて頂き、今年(2015年)1月に退職して、2月から福島市に移住しました。

現在は何をしているかというと、3月から全町避難をしている浪江町の避難者を対象に、タブレットの講習会を主に高齢者に対して行っております。生徒が15~20名おりまして、来週で講習は9回目になります。色々課題が見えてきて、タブレット講習会だけでは高齢者の方にタブレットを普及させることが難しいことから、新しく講習会とは別にビジネスを作り、高齢者の方がもっとタブレットを使ってくれるような仕組み作りに取り組んでいます。

佐藤:私も自己紹介させて頂きます。彼ら2人とはほぼ同世代の20代です。元々福島市出身で、大学から東京へ行き、卒業後はアクセンチュアという経営コンサルティング会社で3年半くらい働きました。震災後に偶然にも会社が会津若松に復興のためのオフィスを出すと言うことで、無理を言ってそちらに赴任させてもらいました。2012年から半年間、CSR担当としてセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとの共同事業を立ち上げたりしていました。

そのプロジェクトがひと段落し、東京に戻るというときに、戻りたくないと思って退職を決めました。初年度は福島大学に転職という形で、福島復興塾やこうしたプログラム作りをしておりました。現在もこのプロジェクトに関わりながら更にこの社団法人のプロジェクトを拡大中です。

 

 

ただのボランティアから社長へ -福島で事業をしている理由-

佐藤:僕を含めて登壇者の4人中3人はUターンです。元々県内出身で震災後に戻ってきた人と、元々縁がないけれど今携わってくれている浜中君というメンバーで、違った視点からもお話できればと思います。

普段から震災が無かったら福島に戻っていなかったよねという話をすることがあるのですが、IT企業で働いていたり社長をしていたりという中で、福島ないしは地方に関わろうと思ったきっかけ、特にその中で、地元だからということもあると思いますが福島を選んだ理由をお願いします。

山田純(以下、山田と略):震災がなければ、今のように福島で会社を作るということはなかったと思います。どうしてそうなったのか?それは、偶然に人との巡り合いがあったということにつきます。どうしてそんな巡り合いがあったかは説明不能でして、たまたま巡り合うということでしか言えません。

説明にはなっていないかと思いますが、福島には巡り合うに値する面白い人がいるということに尽きます。全般的には、どちらかというと大人しい、奥ゆかしい地域柄であるのは間違いないのでしょうが、その中でも共に活動しようという人にいかにして巡り合えるか。それは皆さんも色々な人と交流する中でピンとくる人がいて、じゃあやりましょうとなるのではないでしょうか。

佐藤:一人出会うと芋ずる式になるのではと思うのですが、初めのきっかけなどはあったのでしょうか。

山田:福島は震災以降、色々な支援団体やボランティアが集まっていました。その中で「ふくしま会議」という場もあって、そうしたところに顔を出している間にお互いに化学反応を起こしてよい巡り合いになりました。

佐藤:菅家さんはいかがでしょうか?

菅家:人との巡り合いは大きいです。震災当時、ボランティア活動をしていた中で、ものすごい熱量を持った一流の大人たちに出会いました。自分は子どもというテーマで活動をしておりましたが、世界中の英知が福島の子どものために集まっておりました。

初めは単純にイベントをしておりましたが、その中でなんとなく子どものため、「自分の後輩のため」という言葉を私は使うのですが、何かできないかと考えていました。そんなときにそうした一流の人たちから、何故それが問題か、次に何が子どもたちの抱える問題となるのか、というのを教えていただき、彼らと今もお仕事させていただいています。

それは本当にすごいことです。自分の価値観を変えて頂いただけでなく、福島の子どもたちを元気に、そして福島から日本の全国の子どもたちを元気にするという取り組みを、福島で一緒にやらせていただいています。その中で気づいたら会社を立ち上げていました。

佐藤:私も少し話させて頂くと、大学時代の震災前からNPOの関わりを持っていたうちの一人でした。コンサルタント会社に入って、やりたいこと探しつつ働いていこうと数年間働く中で、興味のあることは多いけれど、どうしてもこれがやりたいというのが見つからない3年間だったと記憶しております。

そんな中で震災が起こって、地元福島で宮城・岩手に比べても一番大きい問題が起こりました。経営コンサルタントは課題解決が本業と言われますが、地元でこれだけの課題が生まれているにも関わらず、東京で会社のコンサルタントばかりいつまでやっている現状に、自分は何のために今までスキルを身につけて来たのだろうという想いが強くなりました。3年目ということで少しは福島でやれることもあるかなと思って飛び移ったのがきっかけです。

 

それまで地方再生について多少関心はありましたが、それほど地元が好きではなかったので、他地域の活性化事例をみて面白いと思っていた程度でした。そうはいっても一番思い入れの強い福島が、こうした課題を抱えたということで、自分のやりたいこととやるべきだと決めたことが一致しました。震災後にボランティアをしている中、菅家君など同世代が福島で活動している中で一人だけ東京の会社に戻るのもどうかという感情もありました。

それでは、Iターンの浜中君はいかがでしょうか。

浜中:きっかけはボランティアです。福島は課題ばかりでヤバいという人もいますが、僕からすると課題ばかりで面白いです。解決することが多くて、常に頭を使わないといけないですしチャンスもいっぱいです。ボランティアをしているだけでも、偉い会社の社長さんと出会えたりしました。逆に僕が東京でサラリーマンをしていたら教えを請うだろう立場の人に、僕が教えたりする場面があったりしました。

今一緒に登壇している菅家さんも、IT業界という起業して継続するのが難しい業界で、アプリ開発を今でも継続してやっているという凄い人です。佐藤さんのように東大卒でアクセンチュアにいた人が普通に横にいてくれて、山田さんのようにクアルコムという素晴らしい会社にいたかたも横にいて、「浜中お前話せ」と言われる環境がとても面白くて仕方ないです。

元々自分がやりたかったものはタブレット講習会です。それは東京でゼロからやるよりも、福島でやるほうが早いと思いました。自慢ではないのですが、東大の医科学研究所の教授や、千葉県の大きな総合病院の医院長さんと普通にお話させて頂いて、チケットのぴあさんなど大手企業の社長さんともお話する機会があるので、そうした意味でも東京でゼロからやるよりも福島でやるのが早いですし、面白いです。僕は福島にきてから全然休みをとっていません。苦ではなく、面白すぎて寝てられない状況です。やること色々あるので、仕事が遊びのような状態です。

佐藤:菅家さん、浜中さんは復興塾の2期生です。菅家さんは1期生の時は運営も手伝ってもらいました。それがネットワークのきっかけにもなったのではないでしょうか?今していることと関連して復興塾の位置づけなどあればお願いします。

菅家:会社の社外取締役として福島復興塾の実行委員長に入って頂いており、立ち上げ前から応援してもらっています。学生から起業して、福島という稼ぎにくい場所で事業をしているので、会社経営のノウハウを持っているかたから応援して頂いているのはありがたいです。2期からメンターとしてトーマツさんにもメンター兼コンサルティングもしてもらっております。

他にも仕事を紹介して頂いたり、マッチングもして頂いているので、様々なかたに支えてもらっています。後は同世代の仲間がいるのは大きいです。福島県は面積が大きい県ですが、同世代で何かチャレンジするという人なかなか少ないです。そうした仲間が復興塾で集まって定期的に互いの近況報告することが刺激になったり、「負けられない」という気持ちにもなります。お互いに仕事を紹介しあったりする環境もあります。福島出身でなくても、復興塾をきっかけに飛び込んで頂いて一緒にできるきっかけが生まれるのではないでしょうか。

浜中:タブレット講習会や避難者のかたメインで家事代行サービスをやろうと思っているのですが、復興塾に入る前は、福島で何をするか決まっていませんでした。自分自身が東京から福島に通うのが大変だったので、Skypeで東京と福島を繋げられれば良いなという漠然としたところから始まり、復興塾でブラッシュアップされてタブレット講習会になりました。

しかし、それだけだと食べていけないので、どうやってお金を得ていくかなど、菅家さんのように既に起業をしているかたからお話を気軽に聞ける環境があります。タブレット講習会つながりで、震災後から宮城や岩手などの地域で既に活動されているかたに繋いでもらったりもしました。菅家さんも仰った通り、仲間がいてくれるのは大きいです。仲間がいないと寂しいので、一緒に課題解決に向かってくれる仲間がいて一緒にやっていけるというのがありがたい環境です。

 

 

「復興」という枕詞はもういらない-質疑応答-

佐藤:ありがとうございます。それでは参加者のかたから質問あればお願いします。 

参加者:実際に福島で事業をやり初めて、地元のかたの感触や反応を伺いたいです。 

山田:どんな事業にしてもサービスにしても地元の理解がないと難しいです。私は地元の人と一緒に立ち上げられたことが大きいと思います。単身で行って「分散発電所をつくるからついてこい」というスタイルでは成り立たなかったと思います。特に、代表になって現場で日常一緒に活動してくれるのが地元の人であるという形ができたのは運が良かったです。そういう人たちに上手く巡り合うかどうか、巡り合えさえすれば地元だろうと外からだろうとやりたいことは一緒なので、自然に歯車がまわって、その中に地元の人が入るという仕組みが自然発生的に生まれるのだと思います。まずは、そういうチームを発掘できるか。我々はそうした環境に恵まれたのだと思います。 

浜中:浪江町のかたにタブレット講習会をしておりまして、行政からありがたいと言われることがあります。といいますのも、福島では行政から無料でタブレットを貸出し配布され始めているのですが、使って欲しいのに使ってもらえないということで、どの自治体も悩んでいる現状があります。そんな中、県の助成金を貰わずにタブレット講習会をやっているのでありがたいと言われています。

高齢者がどう思っているかは直接聞かないと分からないのですが、毎回講習会に参加してくれるということは、それなりにやって欲しいとは思っているはずだと思っています。最近、LINEの使い方を教えているのですが、グループのメンバーに講習会の予定を送っても既読が8名中3名くらいにしかならない状況です。他のメンバーは講習会の日にメッセージが来ていたのかと気づく、そんなレベルなので課題はいっぱいあります。

菅家:お絵かきアプリは全国で使って頂いているのですが、利用に対しての手ごたえは感じています。イベントでこのアプリ知っている?とお客さんから聞かれることもあって。心の中で「僕が作ったんです」と思うのですが、それは日常で使っていただいているということなのでありがたいです。仕事の面でいうと、県内の自治体、NPOなど皆たくさん課題を持っています。予算やリソースもギリギリなので、新しい視点でやっていきたいという悩みは沢山あります。僕自身も、初めはボランティアとしてスタートして、活躍しているかたに巻き込まれるかたちで起業をしました。その中でベンチャーコンテストでも入選させて頂いたりしたことがありすると他のクライアントからご連絡頂いたり、巻き込まれるというのも一つの方法だなと思ったりもしています。

参加者:苦労したこと、楽しかったことを教えて頂けますか。

菅家:小さい会社なので日々ハラハラして苦労はしています。リアルなところで言うと、大学同期の仲間は東京の大手で働いているというリアリティはあります。嬉しいことは仕事のエンドユーザーである、お父さん、お母さん、お子さんに喜んでもらった時です。やってよかったなと、次は何をしかけてやろうという原動力になります。

浜中:苦労したこと、大変なことはありません。挙げるとしたら仮設住宅のいざこざくらいでしょうか。○○さんが行くなら行かないというのがあるので、場所を変えたり時間を変えたりくらいですが、正直、大変ではありません。楽しかったことは沢山あって、タブレットできるかなと言っていた人がYoutubeを使っているとか、googleマップで現在入れない地元の様子を見れたとか、LINEでメッセージや電話でやりとりができるようになったことです。78歳くらいのおばあちゃんが、タブレットは難しくてできないと言っていたので、もう来ないかと思っていたのですが、次の週も来て、意外と楽しいと言いながら参加してくれたことも嬉しかったです。

山田:一番の悩みはお金です。営利会社として運営しようとするので、資金調達やその後の収支が計画通りいくのか、まずはお金を貸してもらえるのかというところが気になっています。当たり前なので苦労とはいえないのかもしれないのですが、頭の痛いところです。嬉しいことは、一つ始めると、新しい人との巡り合いがより早く起きて加速していくことです。今度は、このくらいのお金でこんなことできないかという話がきて、2つ3つくらいの実現可能な事業のネタが手元にあり、その中から何ができるかと考えられるようになったのが楽しいです。

参加者:福島を課題先進地だとポジティブに考えているのですが、福島は安全であると100%訴えられない、進行中であるという難しさについてはどうとらえていらっしゃいますか。

菅家:綺麗な答えにならないと思いますが、よく生きていくために何ができるかということだと思います。今は何が起きるか分からない時代。課題や不安はありますが、生きていかないといけないので、自分が選んだ選択肢を肯定できる環境作りをどう作っていくかが大切だと思います。僕は福島の子どもや保護者を応援するために、少しでも笑顔になれる取り組みを、よく生きるということを福島に限らずやっていきたいです。そうしたことを震災きっかけで思うようになりました。

佐藤:個人的にリテラシーの問題だと捉えています。確定する情報は危険とも安全とも言えないですが、個人的な方向性は見えてきている段階なのかなと思います。例えば南相馬のお医者さんが言うには、野生のキノコなどを食べない限りは内部被ばくは測定できるほどしかないと分かっています。それを信じるかは人それぞれです。個人的には信じているので、危険はないと思っています。なので、その視点から発信するしかないです。世界的にリテラシーが高まれば良くなっていくと思います。個人的にそこにコミットはしていないですが、是非そうなって欲しいと思いながら発信しています。九州で黄砂が飛んでいるのは安全なのかという問題も各自の判断なので、それと似ていると思います。 

山田:私は、「福島は安全だからおいで」というメッセージを出すつもりはありません。それを訴えても信じるかどうかは相手次第なので、その議論には関心がもうあまりありませんね。自分が楽しくやっていて、それを見て面白そうだと思う人がいれば、その人はその人なりに福島について調べると思います。その結果大丈夫という人しか来ないですし、客観的なものは気にしなくてもいいのではと思います。原発が実際今どういう状況で明日どうなるかは私も分からないです。安全とは言っていけないのかもしれませんが、どれだけ危険かも分かりません。あまり気にしないようにしているのかなと思います。被災地をどうのこうのという「復興」という枕詞ももう適切ではないのではと思っています。福島で可能性をかけることができる面白いことがあると思える人に来てもらいたいです。 

佐藤:復興塾もそろそろ名前を変えないと、と思っているところです。 

浜中:食と放射能に関しての個人的な見解なのですが、逆に徹底して厳しい基準を設けているので、東京に売っているもののほうが検査していないので怖いです。有機野菜も定義があいまいだと聞きましたので、そうした意味では日本中の食べ物で安全なものあるのか?とも思います。放射能に関しては、有限会社イタクラは建設業の会社なのですが、建設業は除染しないといけないと決まっております。僕も現場に出たいと申し出て現場に出ているのですが、避難地域である楢葉町もそれ程線量は高くありません。逆に福島市の方が高かったりするので、そう考えると何が逆に不安なのかな?とも思います。逆に、福島に興味があって行きたいのに行かないことのほうが危険じゃないかなと思います。

佐藤:ありがとうございました。それでは最後に一言ずつお願いいたします。

菅家:宣伝で恐縮なのですが、マジコレのコンテンツを提供してくれている絵本作家さんが福島市出身で、色々想いを持って活動されています。彼自身も児童養護出身なので、お絵かきワークショップを県内外の養護施設で行っており、空想活動が心の傷を癒すと活動しております。彼の作品を離れている場所にも届けるために、使っていないタブレットございましたら、是非ご提供をお願いします。

また、僕がプロデュースしている仕事で福島の遊び場を応援しているNPOがあります。そこで、震災後集まった専門家のノウハウを福島から全国に恩返しとして還元する取り組みとして、子育ての情報を動画化してオンラインで共有できるプラットフォームを運営していく予定です。企業や団体さん大学が一緒になってプラットフォームを作っていきます。チャレンジスターというサイトでご覧頂けますので、ご興味あればご支援、Facebookでのシェアのご協力をお願いします。

※以下、菅家元志さんより活動ご紹介文をいただきました。

東日本大震災・原発事故後、福島県内外から福島の子ども支援のために多くの専門家、団体、企業が福島に支援をしてくださいました。支援の中で福島に蓄積されてきた子育て・子育ちのノウハウを日本全国の親子に還元することで日本全体を元気にしたい!という想いで始まったのが「ペップキッズスクール」です。ペップキッズスクールでは子育て・子育ちの情報を動画で配信する福島発・日本初の取り組みです。2015年秋の設立に向けて現在、開発を進めていることに加え、ネット上で支援を呼び掛けるクラウドファンディングシステムを利用し、事業の支援金を募っています。

クラウドファンディングサイト「チャレンジスター」
「ペップキッズスクール」フェースブックページ
ヤフーニュース掲載ページ

 

なぜこのような話をしたかと言いますと、福島の子どもたちのための活動が、日本全国の子どもや保護者にも必要な取り組みだと感じているからです。自分自身、福島でその仕組みを作るためのチャレンジをしています。福島復興塾はそうした案を固めていくのにもよい場なので、一緒に何かできればと思います。

浜中:タブレット講習会も定期的にやっているので避難者と交流したいというかたも気軽に是非いらしてください。また、福島大学と被災地ツアーを楢葉町で行う予定です。これもご興味あればよろしくお願いいたします。福島は面白い場所ですし、起業できるかなという不安があれば復興塾で解決してくれると思います。前向きにご検討よろしくお願いいたします。

山田:福島に漠然とした関心があっても、人の巡り合いもつことは難しいです。福島復興塾を是非利用して頂ければと思います。塾生になるかどうかは別にして、こうした取り組みをされている人たちがおりますので、福島のウィンドウとしては使える場だと思います。お気楽にご参加してくれればと思います。

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※はじめっぺ直売所では季節に応じて様々な福島県産品を販売しております。

 

 

 

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