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かまぼこを通して、文化を残していく。 いわき小名浜の地で生きていく覚悟と、従業員の絆が産む、新しいかまぼこブランド(株式会社貴千 専務取締役 小松 唯稔さん・営業担当 梅津 寿美子さん)

株式会社貴千 専務取締役

小松 唯稔

昭和38年、一代目小松中司により創業。平成16年、新ブランド「三代目小松屋」が誕生。唯稔さんは、専務取締役・三代目として新商品の開発や新しい企画をリードしている。

 

営業担当

営業担当

梅津 寿美子

 

【目次】

Episode 1
貴千の「魚さし」に備わる、「魚が本来持っている力」

うちで一番品質のいいのは「魚さし」です。特徴がないんですよね、本当に「いい」かまぼこって。かまぼこって素材に手を加えないほうが美味しいんですよ。

 

Episode 2
ここで、みんなでなんとか生きていこう~覚悟として作られた、さんまのぽーぽー焼き蒲鉾~

さんまのぽーぽー焼きっていうのも、この辺の文化で、この辺では庶民の味だったものが、「サンマもあがらない、(原発事故があり、この先のことが)なにも分からない」ってなって、「もう食べれないんじゃないか」っていう感覚で。「でも無くしたくはない」とは思ったわけですよ。そこを何とかかまぼこで表現して、残せないかなって言ったのが、これだったんです。

 

Episode 3
従業員から見た、会社の雰囲気・専務が語る、従業員とのつながり

私、本当に、いっぱい失敗するんですね、どうしても。「申し訳ない!」とは思いますけど、自分から「辞めよう」って思ったことはないです。仕事自体も、「楽しい」。頼らせてくれるんですかね、やっぱり専務たちのアットホームな、雰囲気ですね。 

 


 

貴千の「魚さし」に備わる、「魚が本来持っている力」

[板かまぼこの「魚さし」。ここまでのツヤは、なかなか出すのが難しいという。]

[板かまぼこの「魚さし」。ここまでのツヤは、なかなか出すのが難しいという。]

小松:うちで一番品質のいいのは「魚さし」です。特徴がないんですよね、本当に「いい」かまぼこって。かまぼこって素材に手を加えないほうが美味しいんですよ。余計なことしないほうが絶対に魚そのものの味が出るので。それに色んなものを足して付加価値をつけたりしていくんですけど、魚本来の味という意味では何もしないほうが絶対に美味しいです。

見た目ではわかんないんですけども、楊枝で刺して頂くと、すごくわかります。この楊枝で刺すことすら難しい、これが魚本来の持ってる弾力なんですよ。このプリッとした感じが、魚が本来持っている力というか味というか。これ調味料もほとんど入れてないんですね。これがそのものの持っている味なんですよ。本来はこういう方が一番かまぼことしては素晴らしいというか、上質なものです。

かまぼこでもやっぱり、大量生産されるかまぼこっていうのはもちろんあるんですけど、こうやって品質だけを追い求めていくものもあります。実際何が違うっていうのは、かまぼこって、原料があったとしたら、それにでんぷんだったり、粉や水で伸ばしていくことができるんですよね。当然伸ばせば伸ばすほど、安くできるわけです。でもこれは、でんぷんを一切入れていないんですよ。ほとんど伸ばしていないんです。要は「1のものから1のものしかできない」っていう商品なんです。だから魚本来の力もそのまま残りますし、味も余計なことしなくても十分ついてる。このプリッとした食感っていうのが出るんですよね。どうしても伸ばせば伸ばすほど食感ってなくなりますから。

 

 

ここで、みんなでなんとか生きていこう~覚悟として作られた、さんまのぽーぽー焼き蒲鉾~

さんまのぽーぽー焼き風蒲鉾と、営業担当の梅津さん。

[さんまのぽーぽー焼き風蒲鉾と、営業担当の梅津さん。さんまのぽーぽー焼きは、小名浜の家庭料理。家庭料理らしさをイメージし、敢えて「ガサツな」デザインにしている。]

小松:これ(さんまのぽーぽー焼き風蒲鉾)は震災の年の、11月ぐらいに発売したんですよ。3月11日にあの状態になって、4月の末ぐらいにこの工場を再開して、そこから開発してもう11月には製品にしたっていう商品なんですけど。まあ当時買ってくれるのは地元の方だけだったので。それまではどちらかというと、やっぱり多く売りたいので、私たちは外に向かって一生懸命売ったんですよ。「外に向かって売れる商品を」って。でも初めて、「もう地元のためだけに作ろう」って作ったのがあれなんですよ。正直味もまるっきり、万人向けにしてないんですよ。わかってくれる人にだけ、わかってもらえればいいんです。

「いわき小名浜漁師料理」って入れてるんですけど、この言葉を入れるかどうかを最後の最後まで悩んでいたんです。当時、風評被害とかもいろいろあった中で、「入れないほうが売れるんじゃないの」っていうのが、相当あったんですよ。しかも、これを入れることによって、うちの貴千っていう会社が、いわきの小名浜の会社なんだっていうことも大々的に分かるじゃないですか。そうすると他の商品にまで影響するんじゃないかとか色々悩みはあったんです。ただ、「どうしよう」と思ったときに、ぽーぽー焼きっていう料理自体がこの辺の漁師料理っていうのもありますし、何より、逃げることはできないし、「ここで生きていく」っていう意味での覚悟として入れたんです。

私、震災の直前、ちょうど二人目の子が3月3日に生まれたんです。当時、ちっちゃい子を抱えて「とにかくこっから一回、出なさい」と、「一回避難しなさい」っていうことで。ただ、この会社のこともあるし、「行きたくない」とは思いながらも避難をしたんですよ。でもその中で社長はすでに工場修復を始めてたんですよ。だから私が戻ってきた時はもう工場はほぼ直ってる状態で。

子どものために他の土地で生きるっていう手段もあったと思いますけど、実際工場があって、働いてくれてる従業員さんがいて、っていう中で、戻ろうと決めたんです。私が避難してる間も、工場の掃除、修復を色々、手伝いに来てくれてましたから。会社を従業員さんが一生懸命守ってくれていたので、「なんとかしないとな」って。「恩返ししないとな」って思いました。「ここで覚悟を決めて、みんなでなんとか生きていこう」ってことですね。

だから、本当に地元っていうのを意識し始めたのは、その時からですよね。地元の文化っていうのをかまぼこで表現できないかって思ったのがその頃からだったんですよ。さんまのぽーぽー焼きっていうのも、この辺の文化で、この辺では庶民の味だったものが、「サンマもあがらない、(原発事故があり、この先のことが)なにも分からない」ってなって、「もう食べれないんじゃないか」っていう感覚で。「でも無くしたくはない」とは思ったわけですよ。そこを何とかかまぼこで表現して、残せないかなって言ったのが、これだったんです。私も、かまぼこを通してしかそういう表現ができないので、できる最大限のことだったのかとは思います。

 

小田原「おでんまつり」での経験

インタビューに応える小松さん

小松:「おでんまつり」っていうイベントがあるんですけど、震災後、ずっと呼んで頂いてて、かまぼこ屋として参加していたんですけど、小田原という町の人々の人間性が、非常に素晴らしいんです。我々の復興ブースっていうのを出展させて頂いていて、そこで小田原の蒲鉾屋さんが、弾き語りしながら、まるまる二日ずーっと募金を呼び掛けてくれるんですよ。イベントの間中、ずーっとそれだけのためにいてくれるんです。ずーっとですよ。私の横で大声でずーっと。売上とかなんとかっていうのじゃなく、ただ、ひたすら募金を呼び掛けていて。帰るときには、「小田原を盛り上げてくださってありがとうございました」って、みなさんで、おじぎしてくださって。

見習いたいなと思います。私たちには小さいことしかできないですけど、この町もそうなっていければと思っていますね。

 

 

従業員から見た、会社の雰囲気~一回も辞めたいと思ったことが無い会社です。~

インタビューに応える梅津さん

[営業担当の梅津さん。勤務して1年、工場での出荷業務から、展覧会での営業まで、幅広く活動されている。]

梅津:私、本当に、いっぱい失敗するんですね、どうしても。急がなきゃ急がなきゃと思うと失敗しちゃうんですよ。それでも皆、親身になって教えてくれるんですよ。一回も辞めたいと思ったことが無い会社です。失敗しても失敗しても、「もっと頑張ろう」って思う、思わせてくれる会社ですかね……。従業員の皆さんも。

行きたくないとか、そうなったことも、無いですね。「申し訳ない!」とは思いますけど…。失敗してほんと「すいません!」って、思うし、いつでも「(首を)切ってください!」って言うんですけど、でも自分から、「辞めよう」って思ったことはないです。仕事自体も、「楽しい」。頼らせてくれるんですかね、やっぱり専務たちのアットホームな、雰囲気ですね。 

 

 

専務が語る、従業員とのつながり~現場にいて従業員さんと一緒に仕事をしたい~

貴千の店頭に並ぶ、さまざまな商品

[貴千の店頭に並ぶ、さまざまな商品。商品の開発やデザインは、立場に関わらず、従業員皆で協力して行っている。]

小松:(新商品の開発は)もともとの発想は私がしたりしますけど、聞きますから、従業員さんに。「どうだろう」って、「この名前どうだろう、こんなのどうだろう」とかって、「デザインしてみて」とかって、けっこう振るんで。だから、感じて欲しいなっていう感じはありますね。私基本的に、外に出ないわけじゃないんですけど、現場にいて従業員さんと一緒に仕事をしたいっていうのがあるんです。その中で見て、わたしの目線とか、見てるところとか、何を考えてやってるのかっていうのは、周りの人に、感じ取ってほしいなというのはいつも思ってやっています。

 

 


 

原材料にこだわり、職人の技を匠に操り、できたかまぼこはまさに逸品。カニやウニとのコラボレーションはもう必食です!!

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