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ふくしまに想いを寄せる企業・団体が「ふくしまとチャレンジできること・していること」ふくしまから はじめよう。サミットin首都圏【中編】

「ふくしまから はじめよう。」のスローガンのもと、「ふくしま」に想いを寄せる企業や団体の皆さまと福島が一緒にチャレンジすることを目的に行われた、「ふくしまから はじめよう。サミットin首都圏」 。本日は、その中で行われた、福島支援に携わる、民間事業者3者と、はじめっぺによるパネルディスカッションの内容を前編・中編・後編に分けて紹介します。

中編では、10年かかるウインドファンプロジェクトを何故1年半で完成させたのかについて、そしてエネルギーの地産地消について。最後に福島はチャレンジしがいのある環境であるという話についてまとめました

前編はコチラ
後編はコチラ


【登壇者】

  • 福島で世界初の浮体式のウインドファンを使ったプロジェクトを行う「丸紅」電力・インフラ部門国内電力プロジェクト部長 福田知史氏
  • アメリカのIT企業クアルコムに勤めながら会津に電力会社の起ち上げた「クアルコムジャパン」特別顧問 山田純氏
  • 豊かな遊びを福島から日本中、世界中に届けていきたいという思いで会社を起ち上げた「プレイノベーション」代表取締役社長 菅家元志氏
  • 「ふくしま未来学」「ふくしま復興塾」、そしてふくしまのコミュニティプラットホーム作り「はじめっぺ」福島大学准教授 丹波史紀

 

 

【目次】

1.  復興を遂げていくには、形を見せることが一番重要。だからこそ10年かかるものを1年半で

2.  自分たちで使うエネルギーを、自分たちで作るライフスタイル

3.  チャレンジしがいのある環境が福島

4.  未来の人づくりに向けて必要なものは「後押し」

 

 

1. 復興を遂げていくには、形を見せることが一番重要。だからこそ10年かかるものを1年半で

司会:まずは福田さん、山田さんにエネルギーについての話を伺っていきたいと思います。福田さんの「福島で世界初の浮体式のウインドファンを使ったプロジェクト」は、かなり壮大なものですよね。震災、原発事故をきっかけに、すぐに起ち上がったのでしょうか。

福田:通常このようなプロジェクトを先進国のヨーロッパ、アメリカで進めるには、最初の構想から10年近くかかります。しかしながらこの福島のプロジェクトで、最初の二機を浮かべるのに掛かった時間は、わずか1年半です。10年かかるものを1年半で浮かべています。

通常であればこのようなプロジェクトは非常に時間がかかるもので、欧米の政府のほうからは、「なぜ日本でこんなにも早く、世界で誰もやったことがないものをできたのか」と言われます。今回丸紅を中心とした11社、東京大学などとコンソーシアムを組んで、さらに政府と福島県で最大限にサポートしていただき、1年半でこのプロジェクトを進めることができました。

福島が復興を遂げていくのに一番重要なのは、形を見せることだと思っております。ですので、「世界で誰もやったことがないもの」を皆さんに見ていただきたいと思い、いち早く浮かべました。

また、WIND EXPOという世界中の風力関係者が集まる場があります。そこにはヨーロッパ、アメリカからたくさんの方がいらっしゃるのですが、福島で我々がやっていることに対する関心が非常に高く、ドイツ、デンマーク、オランダの政府などは、是非話をしたいということで世界からも注目されています。

それを福島で始めているというところに、われわれとしても大きな意味を感じております。

司会:もう既に発電をして、電力も供給されているということですよね。世界で初めてのこのシステムが、順調に稼働するようになったら、このシステム全体を輸出したり、いろんなことに可能性が見えてきますよね。

福田:そうですね。特に日本の場合は海の水深が深く、今回福島では、水深120メートルのところに浮かべております。ヨーロッパでも既に洋上風力たくさんありますが、これは水深が浅いところだけでやっているものです。水深が深いところについては、日本の福島でやっているものが世界で最先端です。

そういった意味で福島が世界でリードして、福島から輸出するというようなことも十分考えられると思っております。

司会:やはりエネルギーを供給することの難しさを実感した福島だからこそできるものを作っているんですね。

 

 

2. 自分たちで使うエネルギーを。自分たちで作る新しいライフスタイル

司会:山田さんがいま手がけてらっしゃるエネルギーの地産地消についてお聞きします。造り酒屋さんなどをはじめ、全く今まで関わりがなかった方が事業を始めるということは、とても大変だと思います。いかかでしょうか。

山田:再生可能なエネルギーについては、原発事故以来、全国的にもの凄く注目が高まっていました。2012年の7月にサンエネルギーの買い取り制度もできましたので、そこから特にソーラー発電所、太陽光発電所は日本全国に数多く設置されています。しかしながら設置された数が多すぎて、買い取りが制限される事態にまで至っています。

福島県そして東北地方では、最も容量が大きい太陽光発電所の認定がされている地域です。浜通りや中通りに、かなり多くのメガソーラーの計画や実施があります。ただそれらは大半が、大企業の資本のもとに大企業の出店が福島県に場所を求めて進出してきているものです。我々は、そのような大規模なネットワークで成り立っているエネルギー開発ではなくて、その地域に直接電力を送れるようなネットワークを作りたい。必ずしも規模を負わなくてもエネルギーは取扱えるのではないかと考えました。

従って先ほどご紹介しましたように、この事業に参加している人間も地元の人ですし、お金の提供主もすべて地元で賄うことをポリシーにしてやっています。全て地元で賄うモデルが本当に成立するのかどうかは、結果がでるまでもう少し時間がかかると思います。

特に電力の電送ネットワークは、大規模発電所から田舎に水を流すように、高いところから低いところに水を流すように供給するネットワークが非常に上手くできています。そのため地域に小規模発電所を置いて、地元だけでエネルギーを回すというネットワークができていません。そういう現実にどのように、われわれが向き合っていくのかというのが課題です。

司会:ある意味、夢のライフスタイルですよね。自分たちで使うエネルギーを自分たちで作り、しかもそれが生活や様々な産業に活かされるような仕組みをつくることですから。

山田:実際にわれわれもそういうライフスタイルを目指したいです。特に、造り酒屋の屋根には、50キロワットの太陽光のパネルを付けましたので、それでお酒作りにも使えますし、ユニークな商品であるお米のシャンパンなども作り始めています。

エネルギーと水と何らかのものを利用すれば、面白いことができるのではないかと実感し始めているところです。

司会:エネルギー革命とも言えると思います。自然エネルギーをどうやって使って、それをどう広げていくのかというのを新しいモデルが二つ、まさに福島から立ち上がっているということですね。これで日本も世界も、エネルギーが変わってくるかもしれないと思いました。

 

 

3. チャレンジしがいのある環境が福島

 

司会:やはり人材育成、人づくりというところ、これからの福島の道のりには重要だと思いますが、菅家さんのような若い方が福島からはじめようと決意をするのは、やはりご出身だからということが一番大きかったわけですか。

菅家:そうです。一つは自分自身の生まれが福島だからというのが強いのです。もう一つは、「福島はわくわくできるチャレンジできる環境」だと非常に感じているからです。

今回のような「マジコレ」プロジェクトもそうです。福島の子どものために何かできないかという思いを持っていらっしゃるかたがたが、震災後、日本中世界中から集まったと思います。大手企業さんも含めいろんな知識を持ったかたがおりますが、一緒にコラボレーションしていきながら、日本へ世界へとチャレンジできる環境が福島にはあると思います。

わたくし自身、ではどういった形でそういった方々と提携できるのだろうと、震災後考えていたのですが、その一つのきっかけが丹波先生のご紹介にもありました「ふくしま復興塾」です。クアルコムの山田さんなど、福島にゆかりのある経営者、各界でご活躍されている方に出会いました。そこで出会った若手起業家の皆さんと一緒に切磋琢磨してきました。

先輩方とは「指導される・指導する」関係ではなくて、一緒にプロジェクトをやっていきました。このような実践型の環境が「ふくしま復興塾」でした。

司会:若い方に、魅力的なチャンスが福島にはあるということですね。

菅家:そうですね、まさにチャレンジしがいのある環境が福島にあります。会社を同世代で作ってチャレンジしていく、仲間が集まる機会が「ふくしま復興塾」にはあります。

福島県も面積が広いので、浜通り、中通り、会津でお互い知っていてもやり取りする機会がありませんでした。ある意味震災・原発がきっかけで福島で若手がつながる機会ができたと思います。

 

 

 

4. 未来の人づくりに向けて必要なものは「後押し」

 

司会:そのあたりを丹波さんが、一生懸命若者がきてくれるような、チャレンジできるような土壌づくり、環境づくりをされているのですね。

丹波:この3人の話を聞きながら思ったのは、震災が一つのきっかけだったということです。もともと福島県のポテンシャルもあり、自分たちで何かをやりたい人たちも中にはいたと思いますが、震災がきっかけとなって、“よしやろう”“してみよう”となったのではないかと思います。「自分たちがこの福島から新しい未来を作り出す」ということをやれる環境が作られたのだと思います。

震災がなければ、こんなに早く起業はできなかったかもしれません。それでもそこを応援しようという経営者の先輩たちも、きっかけがあって集まってきました。それが土壌を作りだと思います。

単に経営者だけを作ればいいという話ではなくて、福島県は、新しい産業の展開を図っていかなければなりません。福島から日本、世界に向けていろんなことを発信していこうと、チャレンジしようとしても、その人材が外部から呼んできたものではあまり意味がありません。やはり福島で育って、福島で福島の未来を創っていく人達が、増えていかなくてはいけません。福島にいるものとしては、新しい若い力をいろんな形で展開していく可能性を作る、そんな環境を作っていきたいと思っております。

司会:今未来の人づくりに向けて、何が必要ですか。

丹波:難しいですね。後押しじゃないですかね。先ほどの関心ということもそうですが、いろんなことをやっていこうと思う人達の想いを後ろから支えていく環境が大事だと思っています。

この首都圏サミットもそうですし、九州など各地で福島県がサミットを開催しているのも福島から新しくはじめようとチャレンジをしていただくと共に、それを一緒になってやっていく環境を作っていきませんかという一つの呼びかけなのかなと思うのですね。

やるのは、自分たちです。福島の人間が頑張らなくてはいけないと思いますけど、それを応援してくれる環境を作る。そういったことから応援団をどんどん組織にして、企業の人たちもいろんな形で関わっていくような、プラットフォームを作られたらいいかなと思います。

福島県は震災があったからこそ色んなことをやろうという動きにもなっているので、それを支えていく制度的な担保として規制をいろんなところから緩和していくというか、いろんな取り決めを進めていく環境を整備していくことが必要かなと思っております。

 

 

パネルディスカッション後編はこちらをクリック。

 

※はじめっぺ直売所では季節に応じて様々な福島県産品を販売しております。

 

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