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福島から全国、そして世界へものづくりを伝える ~後編~

 2014年12月20日に行われた講演会「地域産業の未来を拓く~会津と新潟の変革の現場から~」の講演会とトークセッションの内容を皆さまにご紹介します。これまで株式会社スノーピークの山井社長による講演の様子を前編・後編でお届けしました。本日更新の記事では、前編・後編に分けて、「福島から全国へ、そして世界へものづくりを伝える」というテーマで講演会第3部のトークセッションの内容を公開します。株式会社スノーピーク山井社長の講演会記事と合わせてご覧ください。

株式会社スノーピーク山井社長の講演会記事 前編株式会社スノーピーク山井社長の講演会記事 後編

福島から全国、そして世界へものづくりを伝える ~前編~

 【目次】

■自分が欲しいものを作るというのが、共通のキーワード

■ものごとを新しく生み出す2つの視点

■本田氏の語る会津の魅力

モデレーター

 

<モデレーター紹介>
本田屋本店 代表取締役 本田勝之助

福島県会津若松市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。卒業後経営を専門に学び2001年にIT関連会社 株式会社ティーアンドエフカンパニー創業、2003年には日本経営品質賞審査員となる。同社が2005年には会津若松経営品質賞受賞。

一方、2004年有限会社会津食のルネッサンスを創業し、地域の食と農業のプロデュースを行う。2006年には日本伝統産業の新規事業立ち上げ、コンサルティングのための株式会社ヒルサイドコネクションを創業。

2006年~2009年文部科学省プロジェクト(喜多方市・大玉村) 公立学校外部評価・第三者評価・学校経営指導実証事業、2008年経済産業省e物産市プロジェクト地域エージェント、2009年経済産業省E物産市プロジェクト地域プロデューサーとしてJapan Producers Platform立ち上げ事情に参画。

地域経営を専門とし、Regional Governance System をベースとして地域プロデュースを行う。
また「経営品質賞」、「会津お裾分けプロジェクトの会」などの活動で、会津の企業経営の質の向上や、会津の食文化の情報網づくりに取り組む。

2010年度経済産業省「地域におけるキーパーソン活用・支援方策に関する研究会」委員を務める。
地域経営を視点に、会津地域の情報化事業、食と農業のプロデュース事業(代表商品 会津継承米氏郷)、地域伝統産業(京都のきもの産業他)のリノベーションなどの事業を展開中。
同年より丸の内朝大学の地域プロデューサークラスの講師も勤め、都市生活者と地域の新たなモデルを構築中。(本田屋本店公式サイトより)

 

 

自分が欲しいものを作るというのが、共通のキーワード

本田氏(以下、本田):山井社長のお話、他の三名のお話をお聞きして日本的な書の考えを感じました。

COOK JAPANテキストより。アセアンの会議の際、経産省の松岡さんが中心として制作

書道でいう所の楷書である「真」を、ちょっと崩してカジュアルにしたものが「行」、そして最後にアーティストの様な形で生まれるものが「草」なのかと思います。スノーピークさんも、卵にも本当に入ってしまう商品(山井社長の講演記事後編参照)を作られたというのは、入口が「草」なのだと思います。

山寺さんがしていることは、一貫してパンクだと感じます。関さんは漆器という伝統的な形をNODATEという形で、カジュアルに持っていこうとされています。

こうした、伝統的な格式をどのようにアレンジして、現代のニーズに合った商品にするのでしょうか。みんなの記憶に残っていくような「草」をどのようにお考えかお聞かせください。山井さんからお願いします。

山井氏(以下、山井):こういう切り口で自分の頭の中を整理したことがないので非常に面白いです。「真」が、燕三条の技術になると思います。燕三条の技術を、アウトドアのライフスタイルに変換すること、崩すということが「行」で、デザイン構想のところが「草」だと思います。

デザインに関しましては、今までなかったものを作りたいと思っているので、誰も参考にせずアウトドアに自分の身をおいて、その中でクリエイターとして生まれてくるものを作りたいなと思っています。

本田:この世の中に無いものを考えようとすると、逆にニーズがあるのかというジレンマが出てくるかと思いますが、そのあたりはどのようにマネジメントをされていますか。

山井:基本的には、今無いもので、自分たちが欲しいものは何だろう、という問いかけをしています。スノーピークは自分たちが欲しいものを作っている会社なので。

山寺氏(以下、山寺):今の話でAppleを思い出しました。例えばユーザーが,iPhoneに似たものをSteve Jobsさんに作ってくださいと言っても、全然違うものができます。彼は自分が欲しいものしか作らない人です。0から1にする人というのは、発想を常に持っているのですが、同時にクレイジーでもあります。

逆に今、私たちの会社は「草」の部分を20年くらいしています。ですが、やればやるほど、「真」が無いと結局ただ壊すだけなので、何も新しいものは生まれないと感じます。

実際1998年から2000年にかけて、鶴ヶ城のCGのプロジェクトを行った際に、日本の建物の技法を聞きながら、2年くらいかけて作りました。その中で、数学的な美しさや普遍的に変わらない美しさを感じましたし、そこは人のテクノロジーでは解決できません。

山井:山寺さんにとても共感いたします。例えば日本の数学者でレベルが高い人は、一番最初に美しい仮説を提示できるかどうからしいのです。海外に行って私が気づいた事は、日本人は自然に対する情緒感を一番持っているという事です。そこは日本人の武器なので、グローバルで活躍する時には絶対に使ったほうがいいと思います。

本田:自然を愛でて、繊細な言語や色を使い、楽しんできた日本人ですので、西洋化・都市化していく中で、日本の本来の強みを活かしていくことが、アーバンアウトドアの提案にもつながると思います。

関氏(以下、関):世の中を変える人たちは、人々からその時は頭がおかしいと散々言われ続けながらも、結果として何かを生み出して作っていきます。

NODATE mugを作るときも、漆のお椀に革ひもつけてぶら下げるという発想は、おかしいと思うのです。何故作ったかといえば、キャンプが好きでアウトドアショップに行っても、自然の中にいるのに金属か樹脂のコップしか選択肢がないのです。ウッド系のカップがゼロなのです。漆器は、その分野に入れるのではないかと考えたときに歴史的にも昔からなかった訳ではありませんでした。

革ひもつけてバックパックに漆器をぶら下げる時点で「草」と言えるかもしれません。それを面白がってくださる市場の声があった事も大きいです。

元々は表彰記念品メーカーだったので、お客さんが表彰品を手にするまでのクッションがあまりにも多く、ものづくりをしていく際に、市場の声が聞こえないというはとても辛いのです。しかしNODATE mugを作った後は色々な声が聞こえてきました。聞こえてきたものを反映させながら、新しいものづくりを展開していくと更に、面白い世界が待っています。

本田:そういう意味では、新しいもの=ニーズ(needs)、ウォンツ(wants)という潜在的な要望がものとして現れた時に、「これが欲しかった」と感じるのでしょうか。ウォンツをいかに感じとって世の中に出していくか考える際に、山井さんのようにダイレクトにお客さんとキャンプしたり、直販店を持つことが大事なのでしょうか。

関:自分が欲しいものを作るというのが、共通のキーワードかなと思います。

山井:キャンプのイベント(「Snowpeak Way」)を始める前は、自分たちが欲しいものを作ると、売れ始めるまで5年くらいかかりました。キャンプのイベントをやり始めてからは、具体的に「この製品は○○さんだったら買えるかな?」とイメージするようになり、そうようになってからは廃盤が非常に減りました。

山寺:それに関して、お二人の製品は正にユーザー体験を売っていると感じます。ここ20年くらいインターネットが推し進めてきたことは、利便性です。音楽でしたら、昔だとレコードを出して途中で裏返さなくてはなりませんでしたが、今は簡単にダウンロードできます。効率的にはダウンロードが早いのですが、レコードを出したときの感じる匂いや、手触りは記憶に残るので、キャンプもテントだけではなく、そこに泊まって焦げたカレーを食べたな、キャンプ場でNODATE mugで美味しいコーヒーを飲んだなと、セットで売っていることが強いのではないかと思います。

本田:そういう意味では友廣さんも東北の仮設住宅に住んでいる方たちと実際に会いながら、何があるのか膝を突き合わせて匂いを感じ、今まで無かった商品を生み出してきていると思います。

友廣氏(以下、友廣):先ほどのOCICAという商品でいうと、もちろんゴールが見えていたわけではありません。まず仕事が無いという問題を相談されて、鹿の角を活かそうという事で、たくさん持っている人を見つけることからはじめました。偶然、猟師さんに出会い、鹿の角をゲットし、牡鹿半島の捕鯨が盛んだった町で鯨の歯や骨を加工する技術を持った人たちと出会って、角をきれいに加工する技術を教えてもらいました。そういう意味では、必然性を一個一個繋ぎ合わせていって、みんなのエネルギーが終結するようなところをつないでいった結果、形になりました。

本田:先ほどの山寺さんの発表でもハスラーの話がありましたが、何か生まれてくるときのフォーメーションの視点で考えますと、友廣さんはどの様なフォーメーションで地域に入っていますか。

友廣:今のところはつなぎ役として、製作者のお母さんたちが幸せになるにはどうしたらよいのかというのを原点にして、情報を発信していくことで必要な人達を巻き込んでいます。

本田:山井さんの組織作りとして、しっかり組織作りをするための、フレームワークはありますか。

山井:ディレクションもテクノロジーもデザインも全てできるのが一番良いと思います。あとは、一番強い得意分野があり、二番目くらいの才能でディレクションができる人がいれば良いと思います。 

本田氏:山寺さんはこの辺りのお話についてどうですか。

山寺:二つあります。まず、日本語でデザイナーは見た目だけのデザインだと訳される事がありますが、海外では、その背景も全て含めてデザイナーという意味があります。例えば会社の社長も、どの様な方向で会社を導くかをデザインするので、デザイナーだと思うのです。

また非常に面白い話で、TEDという世界的な講演会を主催している有名なグループがあるのですが、皆さんに是非見てもらいたいのがあります。「裸踊り、TED」で検索するとでてくると思うのですが、コンサート会場などでどこかの起業家が最初に裸踊りをするのです。二人目も踊り始めると、三人目、四人目、最後には集団となって踊るのですが、そこで一番大事なのが一番最初に踊っている人ではなく、二番目に踊る人がいて始めて集団になるので、二番目の人が実は価値があるといわれています。日本だと起業家が偉いとされていますが、実は起業家ではなく、それについて二番目に行動する人が、同じくらい尊敬を受けるべきだという話です。なので皆さんも二番目に行動していかれたら良いと思います。

参考動画:デレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」

 

 

本田:関さんは、色々な技術を持った地域の方と「真」を創っていらっしゃると思います。その中で気をつけておられることや逆にニーズや課題などはありますか。

関:もともと会津塗の産地が、量産向けの漆器を創る産地で、完全に分業制です。お椀のよう丸いものでしたら、ろくろで木を回しながら刃物を当てて削っていく職人さんと、同じようにろくろを回しながら塗っていく塗師の方がいます。

重箱をつくるような板ものの木地師(きじし)がおり、同じように板ものの塗師がいるという様に、すべてが細分化、分業化されています。良い時代は、そこから日本全国に、出荷額ナンバーワンになるくらいに漆器が出荷されていました。

非常に良い地場の力があり、横に連携していて、人口の3分の1くらいは漆器に何かしら関わるような人が住んでいました。今はおそらく数パーセントしかおりません。そういう中でも、昔の引き継がれたシステムは完全には消えておらず、若手の後継者もいらっしゃいます。

私が12年前に戻ってきた時に、当社は漆にほとんど関わっていませんでした。漆に関わるようになったのは開発時より少し前です。その中でいろんな方と知り合っていく中で感じた事は、若い人達が「できない」と言わない事です。社内だと「やれ」ですむことですが、他社の職人さんですから「できない」と言われたらそれでおしまいです。ですが、私が色々チャレンジしたい、あんなことしたいと言ってもついてきてくれますので、地域のコミュニティがあるというところで救われています。

これ以上何を望むかといったら、より品質の良いもの、スピードでしょうか。ですが、100年前に看護師さんが10分かかって包帯を巻くのと、今日包帯を巻くのにそれほど生産効率は上がりません。包帯の伸びがよくなたっり、患者さんの接し方が優しくなったなど多少の変化はあったとしても、生産効率は100年前でも今日でも同じように10分かかります。同じ様に、漆器の世界でも、自然との闘いなので、半導体などの様に生産効率は上がりません。湿度で漆が固まっていくので、生産効率が上がらないものをいかにシステムを組んで、より多くのものを買えるプライスで提供できるかが課題です。しかもお互いがハッピーなプライスでやれるかどうかというのが課題です。

本田:山井さんはどのような視点で、ここは外でここは自社で製品を作ろうと考えていらっしゃいますか。

山井:スノーピークは自社の約600アイテム中、社内で作っているのは焚火台の3アイテムだけです。その他の製造はすべて外注なので、当社はファブレスに近いメーカーと言えます。当社は企画開発型の会社ので、経営資源を製品開発やブランディングや営業に集中させています。

先ほどの話ですと、漆という素材の製造技術や生産過程は凄く大事です。しかしそれは消費者から見たらあまり意味が無く、その製品によって家族で幸せな時間が過ごせるところが消費者の価値ではないかと思っています。誰かがそこに変換していかないと製品は売れませんし、利益率も上がらないのではないかと思います。

 

 

ものごとを新しく生み出す2つの視点

本田:次に、ものごとを新しく生み出す視点を2つ提示させて頂きます。

1、「あわせ」「かさね」「きそい」「そろい」

「あわせ」…今まで合わせて考えたことがなかったことを合わせて、今までになかったものを生み出す。

「かさね」…昔の貝合わせのようなイメージ。ペアにすることで新しい楽しみが生まれて、ペアにしたもの同士を逆に重ねる事もできる。

「きそい」…それぞれを重ねてペアを関係づけていき、今度は競い合わせていく。

 「そろい」…結果として、これだけ揃っているという事に関しての自己満足が出きる。スノーピーク例だと、商品が揃っているという満足感がファンのステータスになる。

2.「オキ」「クドキ」「チラシ」

「オキ」…スノーピークとして象徴的な商品。その商品に惹かれ、楽しみだと思う商品。

「クドキ」…女性をくどくのと似ている。いくつかのプレイヤーの物語や楽しみ方を提案。舞や演芸にしても助段階があり、そこから物語を始めて、物語で感動させる。

「チラシ」…スノーピークでいうところの焚き火が提案されてることにより、キャンプの楽しさを実感し、心が奪われる。

 

最後どの様に「チラシ」ていくか、「クドキ」のときの感動がすごくしっかりと残るように、その時のキャンプの1シーンが物語になって、自分の記憶の中に残るので、また見たい、またやりたい、また買いたい、また使ってみたいとなるのだと思います。この辺りについて山井さんからお聞きしたいです。

山井:スノーピークの一つの特徴は、お客様一人当たりの生涯価値が非常に高いブランドだという事です。スノーピークがアパレルを作る前は、私はパタゴニアのヘビーユーザーでしたが、トータル100万円くらい購入しました。スノーピークでは、3年間で500万くらい購入されている方もおります。

まず「オキ」として2万4800(S)2万9800円(M)のアメニティードームのテントは買いやすいのでフックになりやすいと思います。「クドキ」は、当社の場合はコミュニティがあるので、スノーピークが何か言うというよりもお客様同士になるのかなと思います。最後の「チラシ」は、最終的にお友達が増えたという事かと思います。ものから入っているのですが、家族の幸せや友人ができたりするところが「チラシ」になっている気がします。

山寺:先ほど、「優れた技術は区別もつかない」とお話しましたが、この話は面白いと思います。iPhoneの例で、ハードウエアの仕事をしている人は、こんなところに基盤があるのがすごいと言いますし、デザイナーはデザインがすごいと言います。ですが、一般の人はそんなことは思いません。何だかわからないけどすごいと思います。

昔の日本メーカーのノートブックの話ですと、閉じた時にロゴが自分の方向に向く形のデザインでした。先ほどの「オキ」「クドキ」「チラシ」を、Appleが意識したか分からないですが、Appleだけはノートブックを立てた時にマークが向こうに向く形だったのです。スタバに行くと、ノートパソコンで仕事をしている人がAppleマークを見せていました。

ユーザー体験に関しまして、この間見たCMで解かりやすい例がありました。AndroidのタブレットCMで、容量64ギガバイト、SSD搭載などという点がクローズアップされていたCMが流れていました。その後にAppleのiPadのCMがあり、おじいちゃんとFaceTimeで話ができたり、子どもとキャンプ行きましたという物語の後に、Appleのロゴが登場するシンプルなCMが流れました。

Appleの方はスペックも何も広告していないのですが、スペックに焦点を当ててしまえば、次にスペックの大きい商品が登場してしまえば終わりです。しかし、おじいちゃんと話ができた等は不偏的な物語なのです。まさしくお二人がやっているお仕事は、その辺の市場を狙ってやっていると感じました。

本田:友廣さんが発想される際は、今までなかったものを、あるものから合わせていきながら、一つのものを生み出しているのでしょうか。発想の際に考えている事や気をつけている事がありましたらお願いします。

友廣:OCICAは、一つ一つつなぎ合わせながら、色々な人に話を聞いていたら偶然着地したようなところがありました。

会津木綿のご祝儀袋は、自分の結婚式でゴミ袋二つ分のご祝儀袋を捨てた体験があり、これは嫌だと思っていたので、いつか布でつくってみたいと思っていました。祝いの場で使う際、特別なものであれば人に伝えたくなりますし、貰った人もその意味を受け取りたくなります。

本田:最初から設計書があるわけではなく、どんどん人に会っていく中でニーズが聞こえて形づくられたという事で、とにかく思向くまま動いてやってみることは一つのバロメーターですね。自分自身が誰よりも先に気づいて、自分で作りたいという行動力がある人ではないと新しいものは生まれてこないのだと思います。

山井さんもキャンプを毎年するにあたって、海外のものも相当見ておられると思いますがどうでしょう。

山井:あまり他社製品は見ないのですが、美しいものは好きです。

友廣:山井社長は元々外資の商社時代にスイスのブランド各社による、ブランディングやストーリーにたくさん触れてきた事が活きているんだろうなと感じました。

山寺:オスカー・ワイルドという詩人が言っていた「私はシンプルな趣味を持っている。それは常に最高のものしか好きではないという事だ。」と、そういうことではないでしょうか。

関:私は全部出会いですかね。自分の欲求に加えて、偶然の出会いがありました。運もありますが、色々な人との出会いを通じてヒントをいただく事は非常に大きいです。特に経験デザインを最近は意識していて、当社が生み出した何かをもとに、ユーザーが何を経験できるのか、それによってうちの商品に出会う前と後でどうスイッチが切り替わるのかという点は大切にしたいと思っています。

お茶が好きでお茶の稽古に通っていて、たまに野点のいうのを経験していた女性がおりましたが、NODATE mugと出会ったことで、山の上でお茶をやってみようすることで新しい経験になります。それが正に象徴で、経験の新しいきっかけを提案していきたいです。

本田:このような二人が会津でリーダーシップをとりながら、どんどん変革を促そうとしております。会津に対してお隣の新潟県にいらっしゃる山井さんから「こんなことしていけたらいいな」というものがありましたら是非聞きたいです。

山井:私が皆さんにお聞きしたいことは、「会津の何を誇りにもっておられるか」「あなたにとっての会津のいいところ」です。そうした質問に答えて頂くことで、こんなことができるかもしれないとアイデアが出てきて、隣同士で連携し合える気がします。あとで聞かせて頂きたいです。

山寺:私は、10年前に会津大学の産学連携イノベーションセンターを借りていました。市内には事務所があり、そこにテントを張ってアーバンキャンピングをしました。空調は入っていますし、警備員さんは来るし、冷蔵庫はあるし、無線LANは入るし最高の環境でした。室内でキャンプ張ると、本当にアウトドアで泊まっているように楽しくて、iMacで、暖炉のスクリーンセーバーを入れてキャンプファイアーをしました。会津大学でもアーバンキャンプ、アーバンアウトドアの発想が広がって欲しいので、ぜひ山井社長には働きかけて頂きたいです。

 

 

本田氏が語る会津の魅力

本田:最後に山井さんから会津のいいところを知りたいという話をいただきましたので、私自身、会津のこんなところが素敵なのだという話もしたいと思います。

会津は観光地で、「もてなし」の心というのが強い地域だなと感じます。会津やその地域に本来ある「しつらい」を大事にしたいならば、その中の「ふるまい」はちょっと古いので、現代の「ふるまい」はこちらの方が喜んでくれるのではないかと考えられます。

逆に大事にしたい会津のいいものの一つが「しつらい」ならば、「ふるまい」を新しいものに考えてみたら、会津の魅力が変わるとも考えることができます。

会津や新潟は、本当に食が美味しいところです。会津の米は金賞受賞者数が一番多く、お酒も美味しいところです。そこが魅力とすると、その「ふるまい」を会津らしく感じてもらうための「しつらい」は、いつも料亭ではなくアウトドアでもいいよねとなります。

最後の「もてなし」に関しましては、例えば会津塗を使った懐石料理が昔のおもてなしであったとすると、会津の自然の中でそのおもてなしを実現するのでしたら、多分道具も変わってきますし、使い方も変わってきます。ふるまいの食材は同じでも、料理の仕方や料理するグッズは変わるかもしれません。

このようにどこか一つを補てんして、あとは柔軟に考えてみると色々なものが組み合わさり、会津の魅力を新しく発信できると思います。

これだけ素晴らしい社長さんが会津にはいらっしゃいますので、 「おれはこういうところが得意だから」と何か一緒に握手してできることがあると思いますので、そのきっかけになればと思います。

パネラーの皆さんに大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。

 

 

※はじめっぺ直売所では季節に応じて様々な福島県産品を販売しております。

 

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