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「福島発!純国産ドローン」「いわき市バッテリーバレー」!? ものづくりの聖地愛知で、あらたな福島創造を白熱討論!その先に見えるものとは(チャレンジふくしまサミットin東海パネルディスカッション)

2015年6月2日に愛知県名古屋市で行われた、「チャレンジふくしまサミットin東海 ~新たなふくしまの創造-ふくしまからの挑戦~」のパネルディスカッションを掲載します。 

【目次】

■製造業は東北1位、日本酒金賞受賞蔵数が全国1位の福島県

■震災で傷ついた子どもたちにもう一度大人を信じる気持ちを

■日本のハイテク関連製品を支える飯館村の工場

■県内総生産は震災前の水準になってきた一方、風評も根強い福島県

■特区制度がある福島だからこそ実現可能な「いわき市バッテリーバレー」

■福島発の純日本製ドローン

■どんどん新たな取り組みが福島から始まっている

■テクノロジーを使った未来へのチャレンジ

株式会社菊池製作所 代表取締役社長
菊池 功 氏

1943年福島県飯館村生まれ。1970年株式会社菊池製作所創業以来、「常に新しいことにチャレンジし続ける」をモットーに、多様な加工技術を導入し、「一括一貫」体制を確立しハイテク関連製品の試作に携わる。福島県において3拠点9工場を稼動。2014年南相馬市にロボット組立工場開設。2014年内閣府「ロボット革命実現会議」メンバーに参画。2015年内閣府「ロボットイニシアティブ評議会」参与に選任され、近年はロボット分野(医療・介護・災害・ドローン)において先導的な役割を果たすべく総合的に取組んでおります。 

東洋システム株式会社 代表取締役社長
庄司 秀樹 氏

勿来工業高校を卒業後、㈱日立サービスエンジニアリング、美和電気工業㈱を経て1989年に東洋システム㈱を設立。
二次電池のエネルギー開発用検査装置の開発、製造、販売。ハイブリッドカーの開発に大きく貢献。Entrepreneur Of The Year Japan 2009 日本代表に選出。平成26年度春の受勲 藍綬褒章受章。 

福島県 風評・風化対策監
野地 誠 氏

福島大学経済学部卒業。平成24年4月福島県避難者支援課長、平成27年4月から現職。 

福島大学准教授
丹波 史紀 氏

1973年愛知県生まれ。日本福祉大学大学院社会福祉研究科博士後期課程中退。 名古屋市の知的障害児施設にて勤務後、専門学校や短期大学で専任講師を経て、2004年3月より福島大学行政社会学部助教授。 新潟県中越地震では旧山古志村の避難所運営を学生・教職員で取り組み、その経験を生かし災害復興に携わる。震災から半年経った11年9月には、原発周辺自治体の約3万世帯の全数調査を行い、長期にわたり避難生活を余儀なくされている住民の生活課題などについて調査した。福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの地域復興支援担当マネージャーも務める。また、浪江町・大熊町・双葉町の復興委員なども務める。専門は、ひとり親家族の貧困問題や社会的自立に関する研究を行い、福島県における子どもの貧困調査や母子家庭調査などにも取り組む。

 

製造業は東北1位、日本酒金賞受賞蔵数が全国1位の福島県

丹波 史紀 (以下、丹波と略):今日はお忙しい中、沢山のかたにお集まりいただきましてありがとうございます。私は愛知県あま市出身で、この東海サミットに出るということをfacebookでつぶやきましたら、大学時代の同級生まで来てくれました。そのくらい東海地方の人たちは心が暖かくて義理がたいと思っています。今日は「新たなふくしまの創造」というテーマで、福島の新しいチャレンジをご紹介いただこうと思っています。

先ほど、福島県副知事のお話で大河ドラマ「八重の桜」で会津地方が取り上げられたという話がありました。会津藩主だった松平容保は、もともとの出自は美濃高須藩だったということで、福島と東海地方は全くゆかりがないというわけではありません。

先ほど副知事から話がありました通り、東日本大震災と原子力発電所の事故を経て5年目を迎えています。光と影という話がありましたけども、福島県では未だに10万人以上が震災原発事故によって福島県内外に避難生活を余儀なくされています。この愛知県にもたくさんのかたが避難をしているわけです。見通しの立たない避難生活からの生活の再建と地域の復興というのは、福島県の再生のみならず日本社会全体に投げかけられた課題ではないかと思っています。

大きな課題の一つが地域の復興になるわけですけども、原発事故の収束と安全安心な地域関係の整備を前提としつつ、さらに魅力ある福島として福島の誇りと尊厳を取り戻し、新しい福島を創造していくことが大事になっていくのではないかなと思っています。逆境からチャンスに変えるとよく言われますが、この震災を経験したからこそ、福島の再生に限らず、日本の再生にとってあるいは世界にとっても大きな意味のあることだろう思っています。

今回のパネルディスカッションは、福島県のものづくりからのチャレンジを知っていただくとともに、それを実現しようとしています。2社の企業から社長さんが来ておりまして、その事例の紹介も含めてさせていただこうと思っています。

福島のものづくりについて少し紹介しますと、平成25年度の製造品種価格は宮城県を抜いて東北で1位です。東北経済産業局の資料で農業が盛んであることは事実なのですが、それよりも製造業が大きな位置を占めています。更には、全国の新酒鑑評会で福島県の日本酒は金賞を24銘柄受賞しておりまして、3年連続で受賞蔵数が日本一位です。

また私たちも取り組んでいる活動として「ふくしま復興塾」というものがありますが、福島の未来を創る若い人たちが新しく事業を立ち上げようという動きもあらわれています。東海地方も製造業含めてものづくりが盛んな地域でありますが、福島での新しい可能性が感じられる取り組みを紹介させていただこうと思っています。

今日は3人のパネリストにご登壇いただきました。東洋システム株式会社代表取締役社長の庄司さん、それから株式会社菊池製作所代表取締役社長の菊池さん、福島県からは風評・風化対策監の野地さんから、福島における取り組みを話していただきます。

最初に、自己紹介も兼ねて福島での取り組みをそれぞれご紹介いただきます。よろしくお願いいたします。

 

 

震災で傷ついた子どもたちにもう一度大人を信じる気持ちを

庄司 秀樹 氏 (以下、庄司と略):東海地区のみなさん、福島県のためにご支援いただきましてありがとうございます。私は福島県いわき市に生まれまして、一度関東地方に出たのですが、地元に戻って27歳で東洋システム株式会社を設立いたしました。

当社は、二次電池という充電して何度も使える電池、携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、最近ですとハイブリット自動車、電気自動車や水素自動車の一部にも使われていますが、この二次電池のシュミレーターを作っている会社です。例えば自動車ですと、首都高を走ったり、北海道の大地を走ったり、色々なシチュエーションで運転する中で、よりよい燃費や性能を出すための計測装置を作っています。電池は、小さなところに大きなエネルギーを持っておりますので、その電池が安全安心で事故が起こらないために、お客様に変わって安全性や性能を測る受託評価サービスを行っています。

また、医療機器など特殊な機器におけるリチウムイオンのパックを生産して供給しており、例えば、ポータブル除細動器というドクターヘリに搭載されるような、ドクターの資格を持ったかたがやる除細動器や歯科医療機などの医療機器の中、または、地震の震度を感知する機器にも、我々の装置を使っていただいております。

このような4つの仕事をやっており、従業員114名で資本金が約41億の会社です。売上は東海地区のメーカー様にお世話になっている所が多く、全体売上の約30パーセントが東海地区です。

実は、液晶や半導体は最近シャープさんが大変な状態になっています。韓国と中国に相当シェアを握られており、10年間でほぼ90パーセントのシェアを取られているのですが、電池に関しては、携帯電話のように20年間でまだ40パーセントくらいはシェアが残っております。ハイブリットカーの電気自動車用に関しては、90パーセントくらいシェアを持っております。

これからの環境産業、蓄電、自動車の中で一番重要なのが、この蓄電技術で、これをなんとしても日本の雇用につなげて、世界中から喜んでいただきたいということで、アメリカに評価装置センターを設立し、滋賀県にも関西評価センターを設立しました。電池業界全体の性能、安全性を向上するための下支えの仕事をさせていただいている会社です。

トヨタ産業記念館をお借りしまして、リチウムイオン電池の開発者、元ソニーの常務、トヨタ自動車の電池研究部長、京都大学と東京理科大学の教授、総勢15名の先生がたで、無償で授業をやらせていただいております。

2011年の震災で、当社の倉庫も津波で流されまして、30億円の売上の場所に5億円の特損を出す事態になりました。震災以降、電車で出張に行く際に、子どもたちが「自分たちの人生は終わったね」と言っていたり、福島から首都圏に就職した子どもに両親が「もう帰ってくるな」と言ったり、女の子が「私って結婚できないのかな」と悩んだり、そういう話を聞いてものすごく情けなくなりました。

子どもたちも大人を信じていないんですよね。その時に、私たちものづくり企業ができることは、日本のものづくりはすごいんだということを伝えて、君たちにも未来と夢があるということを伝えていかないと、廃炉するにも数十年かかりますので、次の世代を担うことができないと考えました。

そこで私たちは、子どもたちに夢を与え、傷ついた子どもたちにもう一度大人を信じる気持ちを持っていただきたいと、トヨタ自動車レクサスインターナショナルの開発者にお願いをして、全部品がオールインジャパンの世界に500台しかないスーパーカーの試乗をさせていただきました。子どもたちの反応として、少し自閉症ぎみだった子が笑ったり、被災地に将来継ぎたいと思っていた自分の父親の工場があって、工場が無くなったことで全く笑わなくなった子が笑顔を見せたりということもありました。

被災地である福島県の高校生、または高専生を毎年招待していまして、今年で4年目です。最低10年はやりたいと思っております。以上です。よろしくお願い致します。

丹波:ありがとうございました。子どもたちに夢や希望を与えていくという取り組みをされていることがよく分かりました。次は、菊池製作所の菊池社長よろしくお願い致します。

 

 

日本のハイテク関連製品を支える飯館村の工場

菊池 功   (以下、菊池):みなさん、本日はよろしくお願い致します。早速、当社の説明に入らせていただきます。当社は、ものづくりの会社で、東京都八王子市美山町という所に本社があります。また、福島県飯舘村に当社の主力工場があります。その為、今回の震災では色々な経験をさせていただきました。

当社は、4年前に東京証券取引所のジャスダックに上場させていただいており、特に産学官連携を通して新製品の開発に力を入れております。当社は、日本でのハイテク関連製品の試作及び量産を総合的に手がけるものづくりの会社です。試作品でございますから、1個から大体100個くらいの制作が70パーセントを占めます。

会社はよく人、モノ、金と言われますが、特に人材育成に力を入れています。特に巧みの技の加工が他者との差別化となっております。当社は小さな会社ではありますが、2箇所の研究所を持っており、約30名の開発者が常に新しい製品に向かって開発を進めています。飯舘村の工場は震災の中、社員が残してくれた会社ですので、なんとしても持続をしっかりとしていく気持ちで今後とも頑張って行きたいです。

丹波:ありがとうございました。次は野地さんお願いします。

 

 

県内総生産は震災前の水準になってきた一方、風評も根強い福島県

野地 誠 (以下、野地と略):みなさん、こんにちは。福島県庁の風評・風化対策監の野地誠と申します。福島の光と影の部分に関しまして、光の部分は関係者のみなさまの大変なご努力によりまして、企業立地件数の新増設件数が増加傾向にあるということ、震災前の水準に県内総生産も戻ってきているということから復興が一歩一歩着実に進んでいる面がございます。影の面では、農業県である福島の農産物価格が上昇しないということ、観光客や修学旅行客は少しずつ戻りつつありますが、依然として風評も根強いという状況にございます。

震災から4年が経過したという状況で、過去のものになりつつあり、忘れ去られつつある部分と、逆に全国や世界から見ても4年前の震災当初のままではないかと思われているような状況です。

私は、4月からこの職に就いておりますが、風評・風化対策というのは、福島県全体の課題です。その意味で、私自身も仕事を進めていく上で、三つのキーワードをお話したいと思います。一つは「感謝」です。これまで、全国から暖かいご支援をいただきました。「改めてありがとうございました。」とお伝えしたいと思います。それから、二つ目は「挑戦」です。震災・原発事故からこれを乗り越えようとする企業、そして県民が様々なチャレンジを続けております。その意味で、三つ目は「共感」でございます。このチャレンジする姿・挑戦する姿をお伝えし、福島の状況を知っていただいて、心を寄せていただくということでつながりを作っていくことだと考えております。

本日の「チャレンジふくしまサミット」ということで、三つのキーワードで福島の今、そして産業復興の取り組みを発信して今日の名古屋・東海地区を皮切りに全国6箇所で開催しきたいと考えておりまして、私自身も全国に足を運んで福島の状況を伝えていきたいと思っております。

丹波:ありがとうございました。福島という事実が十分伝わらず、逆に誤解を招いてしまう現状と、一方で4年目を迎えて福島が忘れさられてしまうこと、二つをどの様に挑戦していくかをお話いただいたと思います。

そんな中で、大きなキーワードとして産業の問題があると思います。ここから福島で事業をするということのメリットや強みについて、少し話を展開していきたいと思います。菊池社長は飯舘村がご出身で、故郷のために工場を立ち上げられ、最近は川内村にも工場をつくられて、南相馬でもつくられることもお伺いしました。その辺り、なぜ東京ではなくて福島でやられようと思ったのかなというお話も伺えたらなと思います。

 

 

特区制度がある福島だからこそ実現可能な「いわき市バッテリーバレー」

菊池:私が中学時代の時は村には殆ど会社がありませんでした。村に会社があれば、そこで働きたいなと思っていましたが、会社がありませんでしたし、その当時は大体長男が田舎に残って残りは都会にいくんだという気持ちが強くありました。そんな中、私も東京へ行けるようになり、カメラ関係や開発関連の仕事に就きまして、右肩上がりの時代になったこともあって、24歳くらいで会社を立ち上げました。

職人を育てよう、社員を育てようと思ったのですが、育ってしまうと他の会社に行ってしまう状況が続いて、これではまずいと生まれ故郷の飯館村を思い出しました。ここで会社をつくってじっくりと人を育ててみたいなと思いました。それが始まりです。

丹波 :若い人が福島から東京に来てもらい、技術を学んで故郷に帰って貢献してもらうという取り組みを、以前からされてきたということですね。庄司社長はバッテリーなどの技術の取り組みをされていると思うのですけど、いわきを中心として事業されて海外も含めて展開されています。そういったことについてちょっとお話をお願いいたします。

庄司:私は日本の雇用を創出して日本の経済を強くする国益と、福島県の復興の為にはバッテリー産業が不可欠だと思っています。バッテリー産業は、日本人にあっている産業で、なかなか海外ではできない技術です。

電力が高い、税金が高い、色々高くて六重苦と言われていますけれど、それを払拭するために電力特区、工業団地を作って新エネルギー都市いわきを作っていきたいと2012年4月から各行政等にもお話しております。今はいわきバッテリーバレー推進機構を設立いたしました。

この団体がどの様に福島に、そして日本国全体にプラスになるかというのは下記の図を見ていただくと分かりやすいのですが、電池関連産業は西高東低で西に集まっています。

西地区バッテリーベイと言われているのですが、円高80円のときにボロボロにダメージを受けました。電力が高いのです。電池をつくるために非常に大量な電力が必要で、設備も新たに更新しないといけないので、特例措置がないと最新の設備が作れないというデメリットを持っています。

ところが福島に工場が建設されると、税制面の特例措置がとれて最新鋭の設備が一括補助金で準備でき、立地補助金やF補助金ということで、電力が約半分くらいの値段で工業団地に供給するような仕組みもあります。こうしたものを、いわきに建設し、西高東低であった電池産業を西と東にバランスよく配置することで、これから起こりうる首都直下地震や東海東南海地震や富士山の噴火などが起こった際に、日本の産業がボロボロにならないように分散していき、全体の会社のコストを下げて、国際競争力を上げていくという構想も考えています。

三菱総研さんと積算したのですが、円が85円であっても十分国際競争力があるという試算が出ておりまして、特区制度をうまく使って工場を分割することにより、非常に大きな収益が上がるようになります。いわき地域には、例えば沿岸部のかまぼこ工場や干物工場は家も会社も全部なくなっています。生き物はアラスカからとってきており、放射能が無くても風評被害で誰も買ってくれない。こういうかたを雇用して、一日働いていただいて「今日も頑張ったな」とおいしいビールが飲めるような、そんなことを僕はバッテリーバレー構想で日本全体と福島と両方がプラスになるようなことをやりたいなと進めております。

丹波:野地さん、福島県でもこうした企業のバックアップはかなりやってらっしゃいますよね。

野地:福島県は東京から北に1時間30分で、200キロ圏内ですし、様々な補助金や税の優遇制度、医療機器開発の研究拠点がオープンしました。再生可能エネルギーの先駆けの地として研究室の整備も進んでいます。

それから、輸送機器から電子機器など様々な半導体も含めた関連産業の産学官のネットワークにより、様々な支援事業も展開をしているところです。また、福島県の売りは人です。本県に立地いただく企業から福島県内の人は真面目で粘り強いという評価もいただいております。さらに、福島県内では会津大学や日大工学部などの理工系大学、医科大学がございます。それから高校の工業科の生徒は7000人で、東北や北関東の中ではナンバーワンです。多くの人材の育成を活かしております。

暮らしは、磐梯山、猪苗代湖に代表されます美しい自然の宝庫、そしておいしい食べ物や温泉、日本酒、人の暖かさということで、立地環境の他にも従業員のかたに心地よく住んでいただけます。震災と原発事故で大きな痛手を負いましたが、なんとか穏やかな震災前の福島を取り戻したい、立て直したいというのが県民すべての願いでもございます。

丹波:ありがとうございます。福島は技術だけでなく人材も財産の一つだという話もありました。また、そういった活動していただく今がチャンスだというお話でした。ここからは、それぞれ事業をされているお二人に、福島の復興や地域再生、あるいはそれに伴う地域の変化に話を移したいなと思っています。まず、庄司社長からバッテリーバレーの取り組みを含めて地域をイノベーションしていく先駆けをつくろうとされているわけですが、そういった事例について少しお話いただけないでしょうか。

庄司:バッテリー関連は、実は地域イノベーションなんです。日本の成長戦略に向けてやっていくことでして、若い人たちが働きたい職場、未来のある仕事をまず作っていかなければいけないと思います。若い人たちが来て雇用が増加することによって、あるいは企業がくることによって、建設業も活性化しますし、下請け産業といわれる製造業も活性化します。当然、行政機関や医療機関も整備されます。

こうしたものを通じて、福島県は再生可能エネルギー100パーセントの県をつくろうとしていますので、世界的な再生可能エネルギーの学会を開くと、世界中から奥さんを連れて研究者が来て、いわきまたは、福島県の観光地のめぐりや福島県のサービス産業が活性化され、農林水産業の風評も払拭されます。その中心となるのがバッテリーバレー構想だと私は考えています。

昨今、電池の力で作る「いわき未来博」というものを開かせていただきました。このときにもトヨタさん、三菱自動車さんのお力がございまして、エコカーや未来の展示、試乗をいたしました。ホンダさんのUNI-CUBという一人乗りの乗り物や、菊池製作所さんからドローンをお借りし、地域のかたがたに、まずは電池がどれだけ素晴らしいものかと体験していただくような取り組みもやっております。こうした車を走らせた後に、実はトヨタさんとホンダさんと日産さんのそれぞれのエコカーの設計、開発、責任者に、電池の必要性とそれぞれの未来についてという講演をしていただきました。特にトヨタの内山田会長さんが、地域創成そしてこれからの地域をどうするかということを投稿していただいたものを披露していただきました。心より感謝するとともに、みなさん手と手を取り合って、未来の日本ために一緒にやっていきたいなと思います。

丹波:ちょうど、トヨタさんのCMで「そういや福島にも未来って名前の学校ができるらしいな」とMIRAIにかけて福島未来学園の紹介をしていただきました。

庄司:今年は未来学園の生徒もMIRAIとLFAに乗せるという計画も進んでおります。

 

 

福島発の純日本製ドローン

丹波:菊池社長からは色々な金型から始めて、総合的な産業ロボットや最近話題になっているドローンの話も含めてご紹介いただいてよろしいでしょうか。

菊池:当社といたしましては、既存の仕事をしっかりとやりながら新しい分野の事業にロボットというものを取り入れております。今、取り入れているものは東京理科大の小林教授が開発をされましたマッスルスーツです。特に、このマッスルスーツは全国展開をしている在宅介護関係の会社で、当社のこの製品を600台使って入浴サービスをしております。これは腰にかかる力を非常に緩和します。

丹波:力を使うような労働を軽減していくロボットということですね。今、福島でイノベーション構想という形で新しい産業を育成しようとしていて、ロボットの技術を発展させようとしております。原子力発電所の廃炉という形での災害からの再生というにとどまらず、このようなロボット産業を育成していくことが、ひいては介護や工場やあらゆる分野にも展開していける可能性があるということですね。

菊池:特に、日本の中小企業は競り合わせの技術というものを持っています。これは大手企業にはない技術です。簡単に言えば、同じ金型で作る同じ機械でも、日本で作る場合は職人さんで価値があがります。なぜ価値があがるかというと、寿命が長いとか精度が高い。それは日本がもっている独特なものづくりの感性だと思っています。

丹波:それをドローンにも展開されるのでしょうか。

菊池 :千葉大学さんと開発しているドローンがございます。このドローンの一番の違いはオートパイロットで、純国産です。今飛んでいるドローンは外国製の機械ですので、ここが非常に大きい利点です。今後日本を始め、海外も発展していくのではないかと思っております。同時に福島でも量産を始めております。

 

 

どんどん新たな取り組みが福島から始まっている

丹波:福島発ということですか。お二人の社長さんからお話がありましたけども、野地さんからも福島県やそれ以外での取り組み事例を紹介していただければと思います。

野地:本県では多くの企業が震災に立ち向かって挑戦を続けています。私からは、二つの企業さんのご紹介をしたいと思います。

まずは、腕時計の内部の部品なのですが、ウォッチケースを製造する精密機械メーカーです。震度6強の地震で本社の工場が倒壊して操業不能になり、若い社員のみなさんが、仮工場に300台ものの機械を移動させ、3ヶ月後にはすべての生産ラインを再開しました。そして、2年後には本社を再建し、元々持っているメッキの表面処理技術を活かして自動車部品に参入し、精密機器の技術を活かして医療技術に参入したりなど、社長さんを始め、社員がものづくりの情熱を持ち、無限の可能性を広げ、挑戦している会社です。

もう一つの会社は、電子部品の製造から生まれた生キャラメルの会社です。リーマン・ショックで受注が激減している中で、東京駅で並んでいるスイーツの品揃えを見て何かできないかと、県産食材を使った地元のスイーツの製造を始めました。そんな時に震災が起き、原材料である県産の原乳が出荷停止になり、取引先停止の中で原材料確保も大変でした。そんな中、全国で催事を続け、日本中で福島を応援してくれていると実感したそうです。パリで開かれた世界的なお菓子の展示会にも東北で始めて出展するなど、福島の食材を使うことで、福島の魅力を発信し続けている会社です。

この様に、企業のみなさんも大震災を乗り越えようと挑戦を続けている状況です。

丹波:私のお話を少しさせていただいてよろしいですか。みなさんも知っているキリンさんとお付き合いがあるのですが、福島県産の梨や桃を使って「氷結」というチューハイを販売し、全国にフルーツ王国福島をPRすると共に風評被害の払拭にも一役買っております。

それ以外にもふくしま復興塾では福島出身の若手経営者の人たちが福島の若者に対して講師として起業にあたるノウハウなど教えております。例えばミュゼプラチナムという脱毛や女性の美容に取り組んでいらっしゃる高橋社長もおります。

そういう中から今度パリで出展する、福島の伝統的な焼き物である大堀相馬焼を世界へ発信していこうとか、又はストールづくりをするような取り組みをしたり、いわきでも夜明け市場っていう形で寂れた街を地域再生していこうという取り組みもあります。さらに、南相馬で元々東京電力の元役員の方が立ち上げた再生可能エネルギーと植物工場を作って子どもたちの体験学習をしようという取り組みも始まっています。

 

 

テクノロジーを使った未来へのチャレンジ

さて、時間が無くなってきましたので最後に3人から、これから福島の未来に向けて一言ずつチャレンジをお聞きして終わりたいと思います。

庄司:私のチャレンジとして、社会イノベーションを起こしたいと思っております。社会イノベーションというのは、例えば二次電池のバッテリーバレー構想によって二次電池の革新技術が生まれること、バッテリーバレー構想によって新エネルギー都市の確立がされること、LFAの体験試乗などによって志の高い人材の育成をしていくということです。復興に向けて安心、安全な町づくりこそが福島の復興になると思って進んでいきたいです。

当社は経常利益の18パーセントを、震災以降は社会貢献活動に回しておりまして、すでに消防ポンプ車3台、警察の防犯協会また交通安全協会に対するハイブリットカーの宣伝広告車8台、行政機関に5台を納めています。少しでも地域の復興に向けて最善を尽くしてやっていきたいと思いまして、最後には、サンシャインソーラーカーレースということで、世界中の学生を福島に集めて環境自動車を走らせることによって、毎年学会が開かれ地域がよくなっていって、そういった地域の取り組みが、今苦しんでいる地方のみなさんの一助になればと思ってやっております。

丹波:ソーラーカーレース面白いですね。全国だけでなく世界的にも注目される取り組みにしていきたいですね。

菊池:復興関連事業ということで、ガンマーカメラという放射能が可視化できるカメラを使い、環境省関係の自宅測定をさせていただいております。

当初の工場が飯館村にあり、除染工事がだいぶ進んでおります。その後、確認のためにガンマーカメラで確認をしております。ガンマーカメラを使って除染マップを作成して除染をした場合、非常に出るゴミも少なくなるし、工事関係も非常に手早くできると思っております。

南相馬の工場は、2年前に当社が取得した工場です。土地は東京ドームくらいありますし、建物も3,000坪くらいある工場です。この工場で、大学団地構想というものを考えております。

また、下記のロボットは腕が4つあるロボットです。なぜ、4つ必要か?4本というと、災害現場などで車やロボットが入れない場所を、このロボットは車体を4つの腕で支えながら入っていきます。また、モーター制御だと楽なのですが、油圧制御ということで、大変な技術を必要とします。同時に、ハイパワーレ-ザーを搭載していますので、進行方向のほとんどのものを砕いたり切ったり溶かしたりできます。

こちらのドローンは、災害における避難者救援システムとして24時間飛んでいられるドローンです。

丹波:災害から新しい技術を生み出していきつつ、新しいチャレンジをされようということですかね。最後に野地さんよろしくお願いいたします。

野地:産業の再生や、風評の払拭には人と人とのつながりが大事だと思っています。この4年間県庁も福島県の市町村も役場も大変な状況でした。そうした中で、全国の都道府県あるいは市町村から福島県のほうに1,800人を超える多くのかたを派遣していただき応援してもらいました。愛知県からも100人近いかたに福島県のために日夜奮闘をいただきました。

東海地区の企業の社員食堂で、福島の食材を活用したフェアを開催していただいたり、メッセ名古屋で復興支援コーナーを設けて出展料を無料にしていただくなど、様々なご支援をいただきました。

このように多くご支援、人と人とのつながりが復興を前に進める原動力になるのかなと実感をしています。本日のサミットは、共催ということで一般社団法人ふくしまチャレンジはじめっぺがおりますが、始めましょうということで連携していって、応援の輪を広げる取り組みをしていきます。そして、全国の関係のみなさん、企業のみなさんに、こうした場を通じまして、感謝、挑戦、共感を胸に復興を前に進めていきたいと考えております。

丹波:ありがとうございます。新しいものを作り出そうと夢があっていいですよね。こういうものがどんどん福島からでてくると「福島からチャレンジ」がみなさんにも伝わって、チャレンジに取り組むことが福島の人たちだけではなくて、全国の人にも参加してもらえるといいですよね。

そういうきっかけになっていければなと思っています。福島から始めようとしているチャレンジが、全国の人たちと社会の注目もあり、2020年の東京オリンピックという節目の年に福島は世界から見てみたら復興したという姿が数年後にそこから描ければと思いました。今日は、長時間にわたりましてご参加いただきましてありがとうございました。

 

 

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