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どんな団体か

【設立】2015年4月。
【沿革】2004-2011年、社会学者である開沼博が「福島に原発ができた理由」を住民インタビューなどを元に研究。2011年、研究成果を『「フクシマ」論―原子力ムラはなぜ生まれたのか―』(青土社)として発表した。2012年、開沼が福島大学内で「福島学構築プロジェクト」を発足。福島の現状を伝え、復興の促進・教訓を世に役立てるために調査・研究を開始。県民への大規模インタビュー調査&アーカイブ、福島エクスカーションを中心に活動。2015年、実務家との柔軟な連携をめざし、株式会社ビジネスリサーチラボ内に、任意団体「福島学研究所」を設立。
【目的(ミッション)】震災後の福島県の困りごとを学術的に調査し、市民や実務家にわかりやすく伝え、福島県の復興の加速や、全世界で将来起きると予測される社会課題の予防・改善をすること。

私たちのチャレンジ(1)
量的データ分析プロジェクト『はじめての福島学』

【なにをしているのか】

福島県民の日常生活に関する数字の分析と、わかりやすい解説

【なぜやっているのか】

「福島県の現状はわかりにくい」、「全体を理解するのが難しい」という声が県内外から寄せられます。そこで、福島県民の生活の課題に着目し、公になっている数字のデータやニュースを分析して、現状や将来の課題について、1冊の本にまとめました。 最新情報を引き続き調査・分析しながら、この本を参考書の一つとして全国で講演会や講義を行なっています。

私たちのチャレンジ(2)
質的データ分析プロジェクト 「ミネルヴァ福島&WEB公開サイト」

【なにをしているのか】

・大規模インタビュー 福島県民の方や、福島県にゆかりの深い方に、数千人規模でインタビューをしています。 
・インタビューアーカイブ 集めたインタビューを、永年アーカイブ(保存)します。また一部をWEBで一般公開します。

【なぜやっているのか】

目的は、①福島県に昔からある根本的な課題の特定と解決、②資料としてのインタビューのアーカイブと、教訓の活用です。 インタビューでは、生まれてから震災を経てこれまでの出来事・思い出・お気持ちを自由に伺います。多くの方にお話を伺い、年齢・職業・地域などの社会的なグループごとに分けて分析すると、そのグループに特有の傾向がわかります。もし傾向の中に課題が見つかれば、当事者である住民の方や、業務の中で課題の解決ができる企業・行政・市民団体などに、わかりやすくお伝えします。一方で、課題があっても、すでにグループ内で効果的な対応策が見出されていることがわかった場合には、よい例として、他の課題の解決へのヒントとしてお伝えします。 また、インタビューは永年アーカイブ(保存)します。将来同じ困難が繰り返されないように、貴重な教訓として残します。また、インタビューをさまざまな分野の研究者で集まって分析し、課題と解決策を多面的に検討します。 さらに、インタビューの一部はWEBで一般公開します。WEB公開は、インタビューでわかったことを、それぞれの持ち場で生かしていただけるように行っています。

【共同事業者】

合同会社シェアード・エスイー(クラウドシステム構築・データ管理)、有限会社東京キララ社(WEBデザイン・WEB動画コンテンツ制作)

私たちのチャレンジ(3)
視察研修プロジェクト 「エクスカーション」

なにをしているのか】

原発避難区域を専門家(開沼)がご案内します。この地域に昔からある傾向を、客観的なデータを使ってわかりやすく解説します。これによって課題の「背景」の理解が深まり、自分とリンクして考えやすくなるため、具体的な支援の行動ができるようになる効果があります。行程は、いわき駅発着の貸切バスで、主にいわき市・広野町・楢葉町・富岡町をめぐる丸1日のスケジュールです。東京からも日帰りが可能です。

【なぜやっているのか】

目的は、福島県の復興を具体的に加速することや、これを教訓として全国・全世界の地方の課題を予防・改善することです。 原発避難区域の状況は、単純に見たり聞いたりするだけでは、思考停止になってしまうことがあります。なぜなら、ショッキングな景色や、一見してすでに復興したように見える場所もあるからです。 しかし、当団体では、課題の背景にある事情をわかりやすく解説することで、参加者が自分の立場に置き換えて考えられるようにしています。これにより、福島県の復興のため、また自分の地域をよくするために行動がしやすくなると考えます。

【行程(例)】
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10:30いわき駅前集合・出発
11:15-12:45 広野町(商店街・駅・直売所)
12:45-13:15 昼食(Jヴィレッジ)
13:15-14:45 楢葉町(岬・仮置き場・民家)
14:15-15:45 富岡町(スーパーマーケット・駅・桜並木)
15:45-17:00 いわき駅着(商店)
17:00-18:00 ワークショップ
18:00いわき駅解散

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【共同事業者】 

 株式会社ビジネスリサーチラボ

【ウェブサイトURL】

http://business-research-lab.com/

私たちのチャレンジ(4)
出張研修プロジェクト 「福島学カフェ」 

【なにをしているのか】

まずは、福島県の生活の現状を示したデータを、市民の方に専門家(開沼)がわかりやすく解説します。そのあと、市民の方同士で、疑問や自分にできることを話し合います。全国に出張して行う、出張研修です。エクスカーションの事前研修や、出張エクスカーションとしてご活用いただけます。所要時間は約2時間です。

【なぜやっているのか】

目的は、「サイエンスカフェ」と同様で、研究者が象牙の塔(大学などの研究機関)にこもっているのではなく、役に立つ情報を世の中にやさしく伝えて、生活に生かせるようにするためです。

私たちのチャレンジ(5)
復興アドバイザリープロジェクト

【なにをしているのか】

復興支援団体(直接支援・中間支援)、助成金を出資している団体、行政機関、全国の企業などと連携し、プロジェクトの顧問としてアドバイスを行います。

【なぜやっているのか】

目的は、各団体が関わっているグループについて、現場感覚ではつかみきれない、グループ全体の傾向を情報提供することで、より効果的な事業を行えるようにするためです。 例えば、県内の幼稚園に対して、子どもや保護者に関する困りごとを客観的に捉えるための視点の持ち方や、解決のために考えられる方法などをアドバイスした実績があります。

私たちのチャレンジ(5)
産学官NPO 連携プロジェクト

【なにをしているのか】

福島県の課題について、実務家(企業、研究機関、行政、市民団体など)と連携して具体的な解決を目指します。

【なぜやっているのか】

目的は、学問的な調査分析によって、個別の困りごとの根っこにある課題を突きとめ、世の中によい影響を与えることができる実務家の方と共に、具体的に解決することです。 これまでの復興支援活動の一部は、現場のニーズに忠実に応えたものだったかもしれません。しかし、目の前のニーズは満たしても、根本的な課題は解決しないままかもしれません。この方法では、困りごとを一時的に和らげることはできても、再発したり似たような課題が起きる可能性があります。そこで、人々の生活を支えている団体とともに、根本的な課題の解決を目指します。

 

ふくしまへの想い 
福島学研究所 主席研究員 開沼 博さん

 

いまの福島県には、震災を機に、素朴な思いとして、自分の生き方を振り返り、住むところや関わるものを知ろうとする人が多くいます。すると、わかったことを材料に、自分はこうしたい、これができると考える人が出てきます。 行動が喜ばれると、人はそれが「おもしろく」なります。 そこに人やものが集まり、できることがどんどん増えます。このような意味で、いまの福島は「おもしろい」と、フィールドワークや日々の研究を通じて思います。

・福島は、知れば知るほど「おもしろい」。「わからない」という言葉で思考のシャッターを下ろしてしまうのはもったいないです。 一方で、福島の人が「困っていること」もまた、正しく伝わっているとは言いがたい面があります。 そこで、さまざまな取り組みによって、福島を理解する人を増やそうとしています。そして、「困った!」と「おもしろい!」をつなげて解決する。それが福島の復興のスピードアップにつながると考えます。

・「課題先進地」、福島。10年以上に渡って福島県を社会学的に調査し、震災後の復興支援活動で見えてきたのは、「日本全体が慢性的・構造的に抱える問題」です。地方が中央と対等な立場になろうと、人や産業を育てる。しかし、育てたヒトやモノは、多くはないカネと引き換えに中央に流出していく。結果、雇用、福祉、医療など生活に直結するリスクを抱える。 これは、福島や震災・原発事故によらず、全国の地方にある姿だといえます。

・全世界の状況を先取りする課題。 福島の状況は、全世界の地方の30年後を先取りしていると考えられます。そのため、「困った」を「おもしろい!」とつなげた解決策は、将来どこでも活かせます。 福島で始まった様々な取り組みを知ってください。そして、広め、支え、活かしてください。

開沼 博さんのプロフィール】
1984年福島県いわき市生まれ。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(2012-) 経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員(2014-) 復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員(2013-2014) 福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバー(2011-2012) 東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。 著書に『はじめての福島学』、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』など。

団体概要

団体名 福島学研究所 
代表者  所長・理事 伊達 洋駆(だて ようく)
担当者  主席研究員・社会学者 開沼 博(かいぬま ひろし) 
電話番号  03-6455-1074(ビジネスリサーチラボ内)
住所  970-8026 福島県いわき市平字白銀町2-10 夜明け市場 コワーキングスペース内
メールアドレス info@fukushimagaku.net
WEBサイト
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