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山本 一成 さん

1987年山形市蔵王温泉出身。福島大学入学を期に、それまで女の子がやるものだと思っていたストリートダンスの魅力に取り憑かれ、現在に至るまで、様々な寄り道をしながらも踊り通すこと8年間。大学卒業のタイミングで東日本大震災を体験し、震災後は、放射能被害に苦しむ農家の支援などに奔走。現在は、大好きなダンスと大好きなふぐすま(福島)の復興の両方を同時に実現できる「スゲェンターテイメント」を創るために奮闘中。

インタビュー日時:2013年9月22日

記事提供:ふくしま人図鑑

山本一成さんにお聴きする3つのキーフレーズは・・・

  1. ふぐすまだいすき ~踊り、踊らせ、踊らされた8年間~
  2. 福島を盛り上げる33人のLOMEO ~Local Men's Organization~
  3. いま福島に100年続くスゲェンターテイメント ~LOMEO PARADISO~
  4. ふぐすまだいすき ~踊り、踊らせ、踊らされた8年間~

ふぐすまだいすき ~踊り、踊らせ、踊らされた8年間~

福島市に根付くための地域の交流の場として、地域のここに飲みに来られたお客様も、はじめて会った同士でいろんな出会いを生んで、また新しいものを作り上げてく、そういう場

──福島に生きる、福島をつくる、福島人を紹介する、ふくしま人図鑑です。本日ご紹介する福島人は

はい。LOMEOのSHIGEです。

──インタビュアーは私、小笠原隼人です。本日は、福島県福島市、こちらですね、「集う・つながる LOMEO場AR」からお届け致します。では、えー、SHIGEさんとお届けするふくしま人図鑑なんですけれども、本日最初のキーフレーズは・・・

はい、こちらになります。見えるかな?「ふぐすまだいすき ~踊り、踊らせ、踊らされた8年間~」

──はい、ちょっとね、この話行く前に、ものすごいテンションの高い場所なんですけれども、ここ、ちょっとどんな場所なのか教えていただいてもいいですか?

えーっとですね、僕らの活動からちょっと話させてもらってもいいですか?

──はい

ここは福島市のパセオ通りというところの端っこにあります、「集うつながるLOMEO場AR(ロメオ・バー)」。今、僕らがLOMEOって、男たちだけの劇団をつくってるんですけれども、県外から来てるキャストがいるので。今カウンターに入ってますけども。彼らが福島市に根付くための、地域の交流の場として。また、地域のここに飲みに来られたお客様も、初めて会った同士でいろんな出会いを生んで、また新しいものを創り上げていく、そういう場になるようにバーをオープンさせました。先週に。

──先週オープンの。

先週オープンです。

──で、LOMEOの話も、この後詳しくお聞きしたいと思ってるんですけども、その活動のひとつで、こういうバーをされてらっしゃると。

そうです。

──このオリジナルのコースター。ちょっとね、暗いからちょっと見えづらいんですけども。

ロゴマークが入ってます。

自分でも踊ってたんですけども、いろいろ震災にも踊らされて、まぁ、そしていろんな人を巻き込んでる今の状態が、全て、人生を踊り通しております。

──で、そのLOMEOに今関わってるSHIGEさんなんですけども、「ふぐすまだいすき! ~踊り、踊らせ、踊らされた8年間~」とあるんですけども、これはどういうことなんでしょうか?

そうですね。もともと僕は8年前に、福島大学というところに入学するために福島に来まして、今に至るんですけども。大学時代に、ダンスというものに出会いまして。ちょうど大学出る年に、震災、3.11があったんで、そこでもともと勤める先であった会社さんも、今まで計画してきたことが震災でダメになりまして。そこからまた新しいことに挑戦していこうということで、営業の形態を変えまして。その後にも、ダンスの面でいろいろ一悶着・・・ 一悶着ではないですけども、いまLOMEOというところに関わってまして。

自分でも踊ってたんですけども、いろいろ震災にも踊らされて。そしていろんな人を巻き込んでる今の状態が、全て、人生を、踊り通しております。

──ご自身でも踊る、そして、いろんなことがあって、踊らされたこともあるし、人々を踊らせるという・・・

そうですね、はい。僕は人を楽しませるために、ダンスっていうのをはじめたので、見てて笑ってるお客さんも、ステージ上の雰囲気、楽しい雰囲気だったり、「え? そんな動きあるんだ」みたいな、そういう不思議な気持ちにこちらも巻き込んでいくってことで、相手の心も踊らせるっていう思いも(キーフレーズに)込めてます。

体ひとつで踊れるっていうのが1番ベスト

──うんうん。今、8年間の話をすごくぎゅっとまとめて教えてもらったんですけども、すごく1個1個気になるなと思って。最初は県外からやってきて、福島大学に入ってダンスをやったんですか?

はい。

──どういう感じの出会いだったんですか?

もともと僕は山形県山形市の蔵王温泉っていう、すごい寒い、山の中のスキー場の前で育ったんですけども。それで、大学進学する時に、山大(山形大学)か福大(福島大学)かどっちかが自分が行けるラインだという時に、実家通いにはもう卒業したいなって思いまして、山大ではなく福島大のほうを選びまして、見事合格しまして、福島に来たんですけども。それで、大学入ったら、バンドもやってみようと思ったんですけども。

まぁ、大学生っていうのは、時間もあって、バイトも出来るようになってお金もあると。そういう状態ですごいいろいろ期待をしながら見学に行ったんですけども、コピーバンドという、アーティストのモノマネではないですけども、楽曲をコピーしてそれをライブでやる。

いや、これは大学生なのにそんなレベルでいいのかな? 高校生もコピーバンドってやってますし、大学生って時間もあるし金もあるんだから、もっと自分たちのつくりたい音楽をつくってみたらいいんじゃないかなと思って。そういうことやってる人もいなく、なんか、想像していたのと違うと。

いままでそれで頑張って来たといいますか、別にギターやりにきたわけじゃないんですけども、そういう楽しみを目的に勉強とかやってきたっていうのもあって、一気に心が冷めてしまいまして。それで友だちに誘われて、ダンスサークルっていうのがあるらしいぞって。で、行きまして。見学させてもらったら、ダンスの曲はアーティストのを使いますけど、振り付けはもう完全オリジナルで自分たちで考えてるってことで。以前まで、そういうダンスっていうものは女の子が踊るようなものっていうのが、勝手な解釈としてあったんで。「あ、男も踊るんだ、しかもこんなカッコイイダンスを踊るんだ」っていうストリートダンスの魅力に病みつきになりまして。そこでもう、これしかない。

あとは、体ひとつで踊れるっていうのが1番ベストというか、心動かされた要因でしたね。「ギターやってるんだけど」って言っても、「じゃあ弾いてみて」、「いやーギターないから無理でしょ」じゃなくて、ダンスは、「踊ってみて」、「分かりました」で、そこで体ひとつで、言ってしまえば世界中どこでも出来るんで、そういった意味でも、ほんとに自分自身の体で勝負してみたかったなっていうのがありました。

──さっきも、ふくしま人図鑑のテーマソングに合わせて踊って下さいっていう、無茶振りをしたら、ハッと。

はい、「ハッ」と(笑) 稚拙な感じでやらせてもらいましたけど。

──それも、即興で今、振りもつけてくれたんですか?

振りというほど大層なものではないんですが。そういう動きっていうもので。

福島でイベントやってる会社の社長さんと出会いまして、うち来ないか、って言われて。

──そんな形で、踊りをはじめられたSHIGEさんが、震災の時、いろいろあったっていうことだったんですけども。なんでしょう、その、震災の時とか、ちょっとその手前ぐらいから、なんかいろいろ動きがあったっていう。

そうですね。僕は福島に残るってきっかけは、特になりたいものっていうのが自分では見つからなくて。その時に、福島でイベントやってる会社の社長さんと出会いまして、そこで、その社長さんが僕の踊ってるスタイルのダンスが好きだ、っていうことで、「特に行くとこないんだったら、うち来ないか?」って言われて。イベントだったり、そういう無形のものをつくってると言いますか、そういうものを0からつくるというところに惹かれまして。じゃあ、そこにぜひお世話になってみようということで、そこに入ることが決まって、(卒業前の)12月くらいからアルバイトみたいな形で入ってたんです。

その時に、来年度から新しい体制で、福島のB級の果物だったり野菜を海外に出すっていう計画を立てたんですけども。まぁ、震災が起きまして、放射能で全部それが出来なくなったので・・・

そういった時に、仕事の道はなくなったけども、よくよく考えたら、僕らは放射能の被害のみで、体も無事で、家族も会社の人らも無事で。津波で大変な思いされた方々もたくさんいらっしゃる中、こうやって生きてられたってことは、何よりだってことになって。

じゃあ、まわりで困っている人をうちらで助けようということになって。で、まわりを見たら、農家さんが1番目の前で困ってて。ほんとに自分たちがつくったものを泣きながら・・・ 作っても収穫してそのままゴミ箱へ、廃棄場へ売るっていうことを涙ながらにやってまして。それをなんか、止められないかということで。僕らで独自で、放射能を測定できるモニターだったり、ガイガーカウンター(放射能測定器)も用意しまして。

そうやって「僕らが代わりに測って販売します」と、代理販売みたいなことをしますっていうことで、イベントなどに出展して、ホームページサイトで販売もしてたんですよ。それで、関東だったり、関西のイベントに幸運なことにお呼ばれしまして、そういったところで人脈もつながりまして。

でも僕がほんとにやりたいのは、ダンスで人を楽しませるってこと

農家さんの、震災前ほどっていうことはないんですけど、笑顔になった・・・ 笑顔になったかどうか分かんないんですけども、最悪の状況は脱することが出来て。僕らもそれを仕事として成り立たせることが出来つつあったんですよね。ただ、ある程度時期が過ぎた時に、「僕も福島のために何か恩返しがしたい。大学時代は散々遊ばせてもらって。友人もたくさん出来て。僕は何で福島を復興したいのか」と思いました。野菜を販売して福島を盛り上げる。これもひとつの応援、復興の形かと思ったんですけども、でも僕がほんとにやりたいのは、ダンスで人を楽しませるってことだったので・・・

それで一旦、そこを抜けさせていただいて。アルバイトやってたんですけども、やってるうちに、今のLOMEO、男だけの舞台やらないかとお誘いを受けまして。もうこれはほんとに福島を盛り上げたいっていうのと、ダンスっていうので、WIN-WINって言いますか、これが、今やりたいことじゃないかって、自分の中で思いまして。そこから、今この現在においても、やってきている感じですね。

──なるほど。大学に行って、ダンスと出会って、「俺はこれをやりたいんじゃないか」ってことではじめて、で、ダンスをしていく間に偶然そのイベント会社の社長さんとの出会いがあって。B級の野菜とか果物を売ると計画する矢先に震災があって、ある種、踊らされた部分というんですかね。

そうですね。そこが踊らされた部分。

──で、農家さんのお手伝いを一生懸命やって、大好きな福島のためにってやっていたら、野菜もいいけれども、ダンス・・・

そうですね。僕が1番やりたいのは何なんだろうということで。

──で、ダンスやりたいっていうところで、この後でお話いただきますけど、LOMEOっていうものの話が来て、自分がダンスがやれて、しかも福島のために何か出来るっていう、そういう活動の場を見つけられてっていう。

そうです。そんな感じの

──「踊り、踊らせ、踊らされた8年間」と言う感じで。で、この後ちょっと現在の活動とか、これからのことなんかもより詳しく聞いてきたいと思います。

はい

──じゃあ、お客さんもちょっと出演してもらいましょうかね。

ぜひ、そうですね。

──はい。このバーの中。

せっかく来てるお客さんなんで、顔を映してさしあげたいと思います。

──こんな感じでございます。

(歓声)

──こんな感じで。バーカウンターが何席ですかね?

10席、カウンター10席ですね。

──10席で。はい、こんな、盛り上がってるLOMEO場ARからお届けをしました。では、キーフレーズ1はこれで終了となります。ありがとうございました。

ありがとうございました。

福島を盛り上げる33人のLOMEO ~Local Men's Organization~

僕がダンスもして福島もを盛り上げるっていうことをやるのにピッタリだった

──はい。それでは、二つ目のキーフレーズをお届けしたいと思います。

はい。「福島を盛り上げる33人のLOMEO ~Local Men's Organization~」こちらになります。

──ちょっと場所を変えてね、さっきとは全然違う感じなんですけど。お話の前に、ちょっとここの場所についてお聞きしてもいいですか?

そうですね。こちらは今、僕たちが事務所、県外組の住居スペースとしてます、福島市にあります事務所兼宿舎。通称、LOMEO城(ロメオジョウ)という・・・

──城(シロ)ですか?

城です。女性の何とか嬢(じょう)とかではなくて、お城になっております。

──いや、すっごい大っきい建物で、結構びっくりしますよね。

これちょっと見た目は普通の部屋なんですけども、外からぜひ見て欲しいんです。すごいコンクリートになってまして。ここの事務所を借りたっていう話を知り合いにしますと、「あー。あそこ」って多くの人が、知ってる建物なんですよ。

ちょうど目の前の道路が朝の通勤ラッシュ時間帯の抜け道になってたりしまして、皆さん信号待ちの間に絶対見る、見てるという、そういう目立った建物をたまたま運良く、タイミングよく借りられたこともありまして。男だけっていう、男だけの共同生活するにはピッタリの場所じゃないかっていう。

──かなりワクワクしますよね。

はい。

──あの、今日は出ないですけど、僕がもともと郡山で一緒に住んでた友だちもね、引っ越して今ここに住んでると。I君という。

あ、そうですね。

──そんな場所なんですけれども。今回のキーフレーズが、「福島を盛り上げる33人のLOMEO ~Local Men's Organization~」

はい。

──これはどういった・・・

これは、先ほどの最後のほうにも話になりました、僕が「ダンスもして福島を盛り上げる」っていうことをやるのにピッタリだったのが(LOMEO)。

逆に福島の男性陣はどうしてんのかなと

今、福島に男だけの劇団をつくろうという動きがあるんですね。 そういう動きがあった中で、その話に誘われまして。なぜ男たちだけなのかって言いますと、今、福島県は八重の桜だったり、ハンサムウーマンなど、震災後、女性がメディア関係にフューチャーされる。もちろん男性の方も頑張ってるんですけれども。

失業された方とかもたくさんいらっしゃたのかもしれないですけど、男性が震災後、家族を養うために必死だった中で、女性がそれを支える、支える以上の活動をしてきたことがフューチャーされたポイントなのかな、って思うんですけども、震災後、女性の頑張りってのはすごく取り上げられてたっていうのがあって。

それはすごい良いことだと思うんですけども、それだと逆に福島の男性陣はどうしてんのかなと。そういうふうに思われないかなと思ったところで、やっぱり、なんですかね、男が女性を引っ張らなきゃって思いもありまして、もっと男も表に目立っていこうということで、男だけの劇団、最初は宝塚歌劇団さんに対抗してっていうのもあったんですけどね。

いろんなパフォーマンスステージとかはあるんですけども、男だけのステージ、劇団って今ないよねって。

──たしかに。

あったらおもしろいよね。しかも、福島に男だけが集まって。それ今なんじゃないかということで。

自分たちが今まで支えてきてもらったものを一歩踏み出すのが今

Local Men's Organizationって直訳すると、「地域の男たちの集団」ってことなんですけども。震災から2年経ちまして、3年目になってる中で、今、支援される、受け身になるだけじゃなく、そこについて僕らが、本当の意味での復興っていう・・・ 立ち上がるべき、自分たちが今まで支えてきてもらったものを一歩踏み出すのが今じゃないかと思って。そういう話になりまして。

じゃぁ、福島をそうやって引っ張ってくの誰なのかって言ったら、男たち。地域に住んでる男たちが引っ張ってかなきゃ、誰もついてこない。誰も応援はしてくれない。という意味合いで、Local Men's Organization、略してLOMEO。

──それでもう33。

はい。33名集まってます。33名で舞台をつくってるとこなんですけども。

公演日を決めてしまえば腹が括れる

──うんうん。それスタートするって言ったのが、6月でしたっけ?

そうですね。その33名を集める、本格的な活動を始めたのが6月1日。

──うん。で、今、9月の23日なんですけど

そうですね。

──6、7、8(月)と、どうでしたか? スタートしてから。

実際、1番最初は、発起人の方と、あともうひとりキャストとして立ち上げを行った方がいたんですけども、あと僕が誘われてっていう、その3名しかいなかったんです。

──3名。

そして、キャスト枠としては、僕とその31歳の方々の2人だけで、あと31人集めなきゃいけない。しかも、有名な劇団ならまだしも、無名の福島の劇団で。震災後の放射能の影響もあるところに人が集まるのかっていう批判や、そういう所に人を集めて、男を呼んでいいのかっていうふうに言われたこともあったんですけど。それでも、ホームページをつくりまして、舞台をやる日にちも、最初にもう決めてしまって、公演日を決めてしまえば腹が括れる。こっちも背水の陣で、本気で臨もうということで、そういうふうに決めたんですけども。まぁ、最初はほんとに誰も・・・

ホームページに応募フォームを設けても、来るのはスパムメールばっかりで・・・ 毎日、朝起きたら(メールを)チェック。「誰か来てないかな」って探しても誰も来ず。

もう、「地域の男たちを集めるんだったら地域に出なければいけない」っていうことで、ポスターをつくりまして、フライヤーもつくりまして・・・

──これですか(チラシを出す)

はい。ステージキャスト募集というものなんですけども、これとあと3サイズはポスターをつくりまして。知り合いの、それこそ大学時代に飲み歩いた居酒屋さんだったり、ダンス関係でつながったショップスタッフさんとかに置いてもらったり、知り合いの仲間に電話かけまくりまして。あとは、女の子の友だちにも、「女の子は出れないんだけど、誰かこういう男、福島を盛り上げたいって思ってる男いないか?」って、僕ら2人で電話をかけまくりまして。

「ポスターを貼って下さいお願いします」って、関係ないお店さんにも、不動産屋さんだったりとか、ここに来る人とか通りがかる人にも見てもらいたいなぁと思いまして、そういったことをやってました。最初の6月はもう、全くほとんどっていうほど来なくて。6月下旬になって10人集まってなかったです。8人くらい。僕ら含めて10いくかいかないか。

それで7月。8月頭には揃ってないとマズいだろうということで、毎日それに追われて。かといって、もうポスターも置いてしまえば、(置ける)軒数も限られてますし。本当に不特定多数の所に貼ってもどうなのかっていうことも考えましたし。

そういった中で、あとはもう、ほんとに待つしかないのかっていう状況になってる時に、少しでも情報を得たら、「こういう子がいるんだけど」って聞いたら、もう直接会いに行って。または、事務所に呼んで、話させてくれないかということで。いろいろ探して、結局、7月半ばに33名集まりました。

──6月末の時点で10人ちょっとぐらいだったのが・・・

そこからなんとか、伸ばして、伸ばしまして。集まりました。

芋づる式じゃないですけど、熱い思いを伝染して集まっていったっていうのが、1番大きかったですね

──どうやってそこまで漕ぎ着けたんですか? 今みたいな努力とかはあったと思うんですけど。

最初はまぁ、2人だったんですけど、ほんとにやる気があるって人も、何名か応募してきてくれて、そこからさらに繋がってったってのは大きかったです。

最初その子らも、本気では応募してきてくれてるんですけど、やっぱり、心の中に半信半疑みたいな所があったと思うんですよね。話してる時でも、「ほんとに本気でやってるとは思いませんでした」って。

良かったのは、それで、応募してきてくれた人たちにこっちが本気でやってるってことが伝わって、その人の本気度も増して、「だったら、知り合いに絶対、俺から誘ったら、来る奴がいます」っていう。そういう、芋づる式じゃないですけど、熱い思いを伝染して集まっていったっていうのが、1番大きかったですね。

ほんとに実際に生で聞いたら、心に震えて、こいつはいける

──へー。ほんとは、33人全員にインタビューしたいところではあるんですけど、今日、代表して、初期メンバーのSHIGEさんの話を聞かせてもらってるんですけど。ちょっとどんな人が集まってきてるのか、紹介してもらえないかなぁと。

そうですね。1番初期のほうに応募してきてくれた子で、応募フォームにズラーッと自分の思いを書いてきてくれた子がいたんですけども、その子はなんと高校生だったんですよ。高校3年生で。

「自分は歌に自身があります」って。ファルセットていう、高音域がすごい出来る子なんですけども。ほんとに真っ直ぐな子で。ちょっとふざけた舞台芸も出来る子なんですけども。

背が低いんですけど、体育会系の子なんで、がっちりした肉体ではあるんですけど、歌わせるとディズニーの歌を歌うんですよ。女性域の高いところをすごいきれいに歌うんですよ。

で、本人に聞いたら、中学時代に合唱部にちょっと入ってて、それでディズニーの歌が好きだった、それだけ。特にボイストレーニングとかしてなくてその状態だったんで。

最初、「ファルセット」って調べて、高音域、どうなんだろ? 裏声とか使って歌ってんじゃないかなぁと思って、僕らもちょっと疑ってたとこもあるんですけど。実際に生で聞いたら、心に震えて、こいつはいけるってことで。いま、1番若いですけども、1番押していきたいなっていうメンバー。早くみなさんの目の前にバンッと出して、聞かせてあげたい。

福島大好きだから、そういうのあるんだったら絶対に参加しなきゃダメだろ

あとは、ダンサー。さっきも話しましたが、僕も福島で大学からダンスをやってて、そのつながりで、街中でダンスをやってる、あとはインストラクターやってるって人が、何人か。「福島大好きだから、そういうのあるんだったら絶対に参加しなきゃダメだろ」ってことで来てくれたり。

あとそうですね。南相馬って沿岸部の地域の出身の方で、プロのパーカッショニストの方。いま東京のほうで活躍されてるんですけども。その方はキャストの中では1番年配で47歳。その人も、この話をした途端に、「そんな福島盛り上げる企画があるんだったら、俺が出なくて誰が出るんだ?」って言って。

実際、お仕事ですごく忙しくて(練習に)なかなか出れないんですけど。その人は最初っから、「行ける時は絶対行くし、キャストとして、演技をする身としてはヘタクソだし、それが出来るかどうか分かんないけど、ステージに出してくれたら何分でも、俺のパフォーマンスでお客さん惹き付けてやるから、出してくれたらそれだけのことは必ずやるから」って熱い思いを語ってくれてる方もいますし。

あとは、意外と多かったのが県外から来た子。さっき、バー(LOMEO場AR)にいた、ヒューマンビートボックスって、口でリズムをつくってくれたSUGURUっていう子も、横にいたSAMっていう子も、二人ともヒッチハイクで日本一周をしてる最中にたまたま僕らの知り合いのところにお世話になりまして。そこから無理矢理・・・ あ、無理矢理ではないですよ(笑) 任意で、「こういうことがあるんだけど、福島盛り上げないか?」って言ったところ、2人とも、そういう無一文で旅をするような子たちだったんで、ほんとに好奇心旺盛で。11月16日の本番の公演が済むまでの間だったら全力で、経験と思って何でもやりますって。今、ここに住んでます。

このメンバーだったら何でも出来るんじゃないかって思える、そういうメンバーが集まった

──その、ものすごくきれいなハイトーンボイスを出す高校生から、ダンサーの仲間から、東京で活躍してるプロのパーカッショニストの方から、ヒッチハイクで全国一周したりする人まで、ほんとにいろんな人が・・・

そうですね。改めて33人集まった時に、それぞれの顔写真と特技みたいなものを並べて一覧表につくったんですけど、初期メンバーの3人と、パーッとそれが出来上がって見てる時に、3人してもう「ほんと濃いのが集まったな」って。

みんな直接全員、僕は話しているんですけど、みんなほんとに、いい子で真っ直ぐな。ま、年上の方にいい子っていう言い方はちょっと失礼なんですけども、いい人、いい子。ほんとに、真っ直ぐで、みんな福島のために自分の思いを話してくれて。

ほんとに「このメンバーだったら何でも出来るんじゃないか」って思える、そういうメンバーが集まった。(そのことに)ほんとに1番安心しました。

──なるほど。じゃあ、7月にそういった熱いLOMEOたちが集まって、ここから11月16日に向けてつくってるというところなんですけども。どういった舞台が出来るのか。LOMEOたちが目指すところなんかを、この後またお聞きしたいと思います。

はい

──キーフレーズ2をお伝え致しました。ありがとうございます。

ありがとうございました。

いま福島に100年続くスゲェンターテイメント ~LOMEO PARADISO~

福島にはまだこれがあるじゃないかってものを僕らはつくりたい

──では、三つ目のキーフレーズいきたいと思います。

はい

──三つ目のキーフレーズは

こちらです。「いま福島に100年続くスゲェンターテイメント ~LOMEO PARADISO~」こちらいきます。

──さっきお話いただいた33人のLOMEOたちがつくるLOMEO PARADISOということなんですけれども、そのお話お聞きする前に、またちょっと場所を変えまして、これLOMEO城のエントランスですよね。

そうです、はい。

──ちょっとLOMEO城、すごいおもしろい場所なんで、ここもぜひ、お話の前に案内してもらいたいなと思います。

はい。構いません。

──お願いします。

カメラのほうよろしくお願いします。

※編集部注:LOMEO城の紹介は、ぜひ動画をご覧ください。

──(LOMEO城の紹介終了後)で、今回のキーフレーズ、いま福島に100年続くスゲェンターテイメント。

はい。スゲェンターテイメントです。

──どんなスゲェンターテイメントなんですか?

そうですね、僕ら11月16日に、「福島市公会堂」という場所で舞台を行うということを初期から決めておりまして。そこで、キャストはどんな人らが集まるだろうっていうことで、先ほどキーフレーズ2のところでお伝えしましたように、3名の最初願った通りに、ほんとに最終的に33人が集まった。

先ほども言ったように、個性溢れる面々が集いまして。それで、その個性溢れる面々をうまく活かしたステージを今、作成中と言いますか、つくり上げています。

福島市で17年間演劇をやってこられた方に脚本をお願いしてるんですけども、その人がキャスト33名の個性を活かした脚本を作っています。

基本的なストーリーを軸としまして、そこに歌あり、踊りありっていうことで。キャストの特技、ダンスだったり、あとは和太鼓奏者だったりもいるんで、そういったものが織り込まれたステージをみんなで創っている最中です。

──33人のLOMEOの個性に合わせた完全オリジナルの脚本で、歌あり踊りあり。そのタイトルが、 LOMEO PARADISOって言うんですか?

はい。 PARADISOっていうのは天国、楽園っていう意味ですけども、タイトルは「LOMEO PARADISO」。当初の段階でポスターに「LOMEO PARADISO」って出してたんで、僕らの団体が 「LOMEO PARADISO」っていうふうに捉えられがちなんですけども、あくまで、ぼくらは 「LOMEO」。

Local Men's Organization っていう、地域の男たちの集団だっていうことで。今回の演目のタイトルが「 LOMEO PARADISO」っていう形になってます。はい。

──そういうことなんですね。なんかスゲェンターテイメント感が今、すごい伝わってきたんですけど。

ほんとですか、ありがとうございます。

──そのLOMEO PARADISO、「100年続く」っていうことなんですけども、どういう気持ちがそこには込められてるんですか?

僕らは3年目、震災3年目で、「支援」から「復興」に一歩、僕らが足を踏み出す立場になったと。その、一歩踏み出すっていうのも、みなさん震災を経験されて、心持ちが重たい所もあると思うんですけども。その一歩を踏み出す手助けとして、何か寄りかかれる心の宿り木じゃないんですけど。

「福島市と言ったらこれだよ」「福島って言ったらこれ」。「放射能で汚染された福島」だったり、「福島にはもう帰れない」と散々言われて、そういった中で、「福島にはまだこれがあるじゃないか」、ってものを僕らはつくりたいと思いまして。

結果論としては、100年続くようなものを僕らがつくり上げる

そして、1回限りではそれは意味ないと思ってる。イベントをやることも大事なんですけど、それがずっと続くことによってそこに住む人々にも、住んでた方にも、「よしまぁ(福島には)これがある」と思ってもらえるように、100年続く文化を創ろう。続いたからこそ文化と呼べるものになると思うんですけど、結果論として、100年続くようなものを僕らがつくり上げる。

僕らの元々の団体が「福島新文化創造委員会」という、読んで字のごとくそういった団体。福島で昔から会社をやってらした代表の方だったり、長年、飲食店を経営されていた代表さん、オーナーだったり。「福島の新しい文化を創る」という思いに賛同してくださった方々が集まって、創っている団体なんですけども。

現在NPO申請中でして、そういった方々の支援もあって、いま、100年続くための第一歩として、こういった公演をやろうかなって思って。

将来的には常設のシアターをつくって、毎日LOMEOの公演する。

将来的には、常設のシアターをつくって、毎日LOMEOの公演をする。修学旅行生を呼んで、「え、今日はあんなとこの、四国から来た高校生が、LOMEOを観に来たよ」「次の日は別の県が」みたいな。「福島にこんな良いとこがあるんだよ」っていうことも紹介してまわって。「町中もこんな感じなんだよ」っていうことも、もっと発信していけるようになり。併設で震災記念館っていうものを建てて、福島はどういう思いだったかっていうことも、あとの子どもたち、さらに生まれてくる子たちにも、伝えていけるような場所にしていきたい。

そういった場をつくることで、100年続くものになってくのかな。そういったものにしていきたいという思いがあるんですけど。

100年続くものを僕らがまず一歩でつくらなきゃいけない。地域に根付いて、それが一番だと思う

100年続くものを、僕らがまず一歩でつくらなきゃいけない。地域に根付いて、それが一番だと思うんで。先ほどキーフレーズ1で撮った場所の「LOMEO 場AR」っていうのは1番分かりやすく、物理的に地域に根付いてるということになってるなと。

そこでいろんなコミュニティの形成。僕らもつくり上げていきたいなと思っているので。そういった意味でも、LOMEOが地域に浸透していけばと思っております。じわりじわりと。

──なるほど。100年、結果的に続くくらいのものをつくるというところで、先々は常設のシアターもつくって、震災の記念館もつくって。で、今の一歩目としてPARADISOの公演であったりとか、LOMEO場ARであったりとか。このLOMEO城なんてのも、そういう何か・・・

そうですね。この場所は街中、中心部に建てられておりまして、周りが全面コンクリートむき出しのビルということもあって、事務所にしたって言った当初、ほんとにいろんな方から、「あそこ、私が住みたかった」、「僕が住みたかった」、「俺が借りる予定だったんだぞ、将来」みたいな(ことを言われました)。

そういう、みんなが知ってる場所ということもありまして。ここは、借家なんですけど、僕らもタイミング良く空いたところを借りれまして、そういう何かの運命的なものがあるのか。こっから初めて、ここが続く、ここが名物になるように。しかもこのビルは「ロケットビル」という名称でして。屋上もありまして。福島市がまぁ、一望じゃないですけどある程度パノラマで見れる、絶景のポイントなので。もっとここにも人が集まれるような、名物になればなと思って、はい。

第1回目のPARADISO 11月16日に劇場でお会いしましょう

──すっごいですね。で、その一発目の大きな公演でもある、第1回目のPARADISOなんですけども、その詳細というか、場所であったりとか。日時は11月16日なんですけど、チケットの購入方法なんかも・・・

そうですね。つい、先日、チケットが出たばっかりなんですけども、2種類あります。土曜日、赤いほうが昼2時、14時からの開演となっております。黒いほうが、夜6時、つまり18時からの開演となっております。一般の方は、前売りで3000円。学生の方は2500円となっております。

──学割もあり。

はい。こちら、現在ちょっと調整中なんですけど、基本的にキャストの手売りで販売しようと思います。数に限りがございます。

あとeプラスという、チケット販売サイトでも間もなく販売開始しますので、もし欲しいっていう方は、知り合いづてにLOMEOのキャストを探すか、もしくは、facebookページにて「ロメオパラディッソ」、とカタカナで検索していただくと、LOMEOの専用ページが出まして、

facebook「ロメオパラディッソ」

そこにメッセージを「チケット欲しいんだけど」「何枚欲しいんだけど」っていうことを書き込んでいただけると、すぐに対応しますので。

──はい。今回、収容人数は何人ですか?

1回、1回につき1300人となっております。

──1300人。2回で2600人。

2600人です。

──はい。当然満員を。

そうですね。目指して。

──もう、早めに買わないと間に合わないってことですね。

そうですね。数に限りがございますから。

──数に限りが、はい。

なんで、どしどしご連絡ください。

──はい。あとはなんか、このTシャツ。

はい。

──ちょっとカッコイイ。

「LOMEO PARADISO 」Tシャツで、肩にロゴが入ってます。ちなみにこれクルー専用で、背中にLOMEO CREWって書いてあります。

──おー

ちょっとこれは、キャスト専用なんですけど

──そうなんですか。

はい。

──ちょっと欲しいなって思ったんですけど。

基本的にこれはfacebookにて販売を開始しようかなと思ってまして。

──なるほど。

後ろの「CREW」がなくなってしまうんですけども。表だけでもぜひ。ギラギラしたデザインなんですが。欲しい方はどしどし。直接メールしていただければ。僕もfacebookをやってますんで。

──どしどし連絡欲しい。連絡先。ふくしま人図艦のほうでもリンクを張らしていただきますので、チェックしていただいて。

ありがとうございます。

──はい。ほんと100年続く文化の最初の一歩の、歴史の生き証人のような。

そうですよ、ほんとに。

──それで観にいけるというのはすごい楽しみで。また11月16日に。今度は生でみなさん、SHIGEさんのダンス、33人LOMEOの歌や踊り、ぜひ観ていただけるかなと思いますんで、またぜひ劇場でお会いしたいなと思います。

お待ちしております。

──はい。というわけで、今回のふくしま人図艦はLOMEOのSHIGEさんにご登場いただきました。ありがとうございます。

ありがとうございました。

──また次回、ふくしま人図艦でお会いしましょう。さようなら。


【参考】山本一成 a.k.a SHIGEさん関連ページ facebook
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LOMEO関連情報 LOMEO PARADISO 公式ホームページ
LOMEO PARADISO facebookページ

 

※はじめっぺ直売所では季節に応じて様々な福島県産品を販売しております。

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