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若い人が気軽に遊びに来られる農園に! 全くの初心者が、新しいアイデアで福島の農業を変える(大野農園株式会社 大野栄峰)

大野農園株式会社 大野栄峰

1983年6月4日生まれ。石川郡石川町出身。仙台市内の大学に進学し、18歳でモデルを始め、23歳で上京し芸能活動を行う。東日本大震災の1年後に、家業の農業を継ぐと共に「大野農園株式会社」を設立。農業だけにとどまらず、農園を開放したイベントなどの企画を通じて、新しい取り組みを行う。

目次

全くの未経験だからこそ感じる農業の可能性。

震災後、未経験から就農。未経験だからこその柔軟な発想で、様々な商品開発、イベントの企画を行っている。

■労働を楽しいイベントに変えることで、Win-Winの関係が生まれる

農作業をイベントに変え、やりがいを持って働ける場を提供している。従業員約20名という大規模農園で、働く人も参加する人も楽しめる企画を行う。

■イベントをきっかけに、初めてお中元を送りたいと尋ねてきた若者

イベントをきっかけに生まれた出会いに農業の可能性を感じた。今後もイベントを通じた誘致を展開していく。

 

 

全くの未経験だからこそ感じる農業の可能性。

今まで農業の経験はありませんでしたが、東日本大震災をきっかけに地元で何か力になりたいと思い、1年後には実家に戻って農園を継ぎ、法人化しました。農園は父の代から始まり、今年で40年目を迎えます。

 

東日本大震災では、実家は原発事故があった場所から離れていましたが、風評被害の影響で3~4割は売り上げが落ちてしまいました。県内の消費者からは、自分で購入するには良いけれど、お歳暮の箱に「福島」と入れないでという声もありました。

当時は、風評被害を、安全・安心を前面に出すことで乗り切ろうとしていました。しかし、そもそも安全・安心なものを販売していることは当たり前なので、そこをアピールすること自体がおかしいのではないかと疑問に思いました。現在は、東日本大震災から4年が経過していることもあり、純粋に他県と比べての福島の魅力を発信していこうと思っています。

私自身は、今まで農業を手伝ったことがほとんど無く、未経験でした。しかし、父の代では行なっていなかった、ジャムや紅茶などの加工事業、農園で花見をするイベント、福島の野菜や果物のみを扱ったピザのキッチンカーの運営など、未経験だからこそ色々なものに挑戦することができます。

福島の食に関しては、もの作りが上手な方が多いのですが、発信は苦手な方が多いと感じます。「俺が作ったんだから、美味しいに決まっている!」と、根拠も無くおっしゃる方もおいでですが、それでは良さは伝わりにくいのではないかと思いました。ものの品質は確かなので勿体ないと感じ、地元福島県の農家さんから仕入れた材料のみでピザを作り、農家さんの名前を入れたメニューでキッチンカーの運営を始めました。

旬のものを食べていただきたいので、年に3回、メニューを変えています。福島の一員として農産物をPRしたいと考え、県内ではスーパーで販売し、週末は東京でイベントに出店しております。

若い世代に発信するために、女子高生が学校帰りに割り勘で購入できるよう、値段を500円というワンコインに設定しました。最近では、ピザ屋さんと言われることもあります。リンゴを40年作っているので複雑な気持ちになりますが、知ってもらうきっかけとしては、たとえピザ屋さんでも良いのではと思いました。  

 

 

労働も楽しいイベントに変えることで、Win-Winの関係が生まれる

現在は、ピザ専門の従業員が2人、農園従業員12人 で、パートも入れると約20名ほどの会社です。福島県で2番目に大きい規模の農園です。先日はfacebookを見て、関西から就農したいと連絡をくれた学生もいました。「大野農園」だからといって家族だけでやっていくつもりはなく、誰が社長になっても良いと思っております。 

弊社には、農作業だけをしている従業員はおりません。年配の従業員も、販売やイベント等でお客様の対応をしております。お客様との関わりによって、生産者の意識を変えていければと考えています。農作業には、繰り返しの単純作業もあります。単純作業を行なっていても、何のために商品をつくるのかという目的を見失わないように、消費者と触れ合う機会を作っております。

消費者から直接「美味しかった」という声を聞くことで、従業員の仕事は丁寧になりますし、それぞれがものづくりに対する想いを再確認できます。皆、自分が育てた果実に自信を持って仕事をしています。 

今後の課題は、石川町の果物農家が約25軒ある中で、後継者がいるところがほとんどいないということです。土地を今後誰が管理するのかなどの問題があります。

一方で、弊社の従業員の中には、独立して農業をしていきたいとの想いで入社してくる者もおります。元々農家ではない人が就農して農地を買おうとすると、法律の壁や初期投資といった、やる気だけでは乗り越えられない課題がございます。その様な方々に対し、弊社が全面的にバックアップをできるのではとも考えております。 

2つ目の課題は、農業には高齢者にとって大変な労働が多いということです。労働を軽減することと購買に繋がることを目指して企画したイベントが、焼きりんごのイベントです。今年初めて開催するのですが、参加者で果実の木を剪定した枝を拾って焼きりんごを作り、交流するというイベントです。どんど焼きのようなイメージです。他にも、ジャガイモやトマトを焼いて、大変な作業をイベント化することで、働く人にも参加者にも楽しんでもらおうと考えています。剪定した枝を拾う作業は大変なので、このイベントが成功すれば、他の農家でも展開していきたいと思っています。

 

 

イベントをきっかけに、初めてお中元を送りたいと訪ねてきた若者

焼きりんごのイベントの他に、農園花見というイベントもしています。果実の花に囲まれながらバーベキューなどができます。参加者は、幼稚園くらいのお子さんを連れた20代半ばくらいのご夫婦が多いです。テーマパークへ行くには遠くて費用もかかるけれど家族でどこかに行きたい、お腹いっぱい食べさせてあげたいというご家族がいらっしゃいます。 

そのイベントに参加した若い男性が後日ふらっと農園にいらして、上司にどうやってお中元を送っていいか分からないから教えて欲しいとおっしゃいました。今までお中元を送ったことがない若い人が、イベントをきっかけに当農園の果実を送ろうと思ったということで、とても面白いなと思いました。

 

今後は、更に誘客に力を入れたいと思っています。どうしても8月から12月以外の果実がなっていない時期には仕事が減ってしまうので、冬から春にかけても誘客できるように、今回の焼きりんごイベントや花見イベント、夏はビアガーデンなどを企画していきたいと考えています。 

農業は、未開拓な部分が多く、すごく可能性があると感じています。他の地域ではしていることでも、福島で始めたら1番になれるものが多いので、今後も色々な商品企画やイベントを打ち出していく予定です。

 

大野農園さんの果物,加工品を購入する!!


大野農園


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