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ふくしまに想いを寄せる企業・団体が「ふくしまとチャレンジできること・していること」ふくしまから はじめよう。サミットin首都圏【前編】

「ふくしまから はじめよう。」のスローガンのもと、「ふくしま」に想いを寄せる企業や団体の皆さまと福島が一緒にチャレンジすることを目的に行われた、「ふくしまから はじめよう。サミットin首都圏」 。本日は、その中で行われた、福島支援に携わる、民間事業者3者と、はじめっぺによるパネルディスカッションの内容を前編・中編・後編に分けて紹介します。

本日お送りする【前編】では、それぞれの立場から、これまでどのように福島支援に携わってきたのか皆様の取り組みをご紹介いたします。

中編はコチラ
後編はコチラ

 

【登壇者】

 

【目次】

1. 「丸紅株式会社」電力・インフラ部門国内電力プロジェクト部長 福田知史氏

2. 「クアルコムジャパン株式会社」特別顧問 山田純氏

3. 「株式会社プレイノベーション」代表取締役社長 菅家元志氏

4. 「ふくしま未来学」「ふくしま復興塾」「ふくしまから はじめよう。未来づくり”HAJIMEPPE”」福島大学准教授 丹波史紀氏

 

 

1. 「丸紅株式会社」電力・インフラ部門国内電力プロジェクト部長 福田知史氏

 

福田知史氏(以下、福田と略):丸紅で国内電力プロジェクト部長をやっております福田でございます。わたしは総合商社に入りまして、25年以上海外に向けて仕事をしていました。ふと考えたときに、サラリーマン人生の中であと10年後、日本人として、自分で何か残したものはあるのかと考えるようになりました。それで国内で、意味のある意義のあるプロジェクトをやろうということで、国内ビジネスをやろうと日本に戻りました。

 わたしは震災の直後に戻ることになったのですが、そこから国内の電力の需要が大きく激変いたしました。そういった中で、われわれ丸紅の国内電力として福島で今、世界で初めてまだ誰もやったことがない世界初の浮体式洋上ウインドファームを、福島第一原発からちょうど20キロの地点に二機浮かべております。更に「ふくしま未来」という2,000キロワットの風車、および「ふくしま絆」という世界で初めての浮体式の洋上変電所を今年の夏に浮かべる予定で、こちらは「世界最大級の7メガワット、7,000キロワットの風車」で高さが200メートルあります。200メートルというと、新宿の高層ビル一棟分にもなります。現在ある二機とこれから浮かべる二機、合わせて四つの浮体をいま福島沖で浮かべようと計画しております。

 浮体式の洋上風力は、もともとヨーロッパで始まったものですが 、「水深120メートルで高圧で送ることが出来る船上に乗っている変電所」を世界で初めて開発しました。計画中の四機を2016年の3月末にかけ、実証を行いながら、地元の関係者の方、漁業関係者の方々のご理解を得て、2020年の東京オリンピックまでに、福島の復興を代表できるシンボルとなれるようなプロジェクトに育てたいということで進めております。

司会:ありがとうございます。後ほどまた改めて、詳しいご質問をしたいと思います。

続いて、山田さんお願いいたします。

 

 

2. 「クアルコムジャパン株式会社」特別顧問 山田純氏

 

山田純氏(以下、山田と略):只今ご紹介いただきましたクアルコムジャパンの山田と申します。

わたしは福島生まれ、福島育ちで高校まで福島で過ごしました。現在はモバイルのIT企業であります、アメリカの会社のクアルコムに勤めておりますが、震災以降、郡山の実家(当時は、母親も一人で残っていることもあり)に足しげく通う機会になりました。

その結果現在、会津電力、主に会津エリアの電力会社の起ち上げ関わっておりますので、その状況につきましてご紹介をさせていただきます。

会津電力は、2013年8月1日に起ち上げをいたしました。わたくしをはじめ、起ち上げのメンバーは、会津の酒蔵の造り酒屋の親父さん、その当時まで会津地方で居酒屋をやっていた若手の経営者、農業法人の経営者などです。いずれにしても全く、エネルギーには関係ない人間の集まりで、会津電力を起ち上げたわけであります。 

そのきっかけは、当然ながら震災後の原発事故であります。原発が爆発した時に非常に驚きました。なんでこんなことが起こるのか。それをきっかけに、“電気というのは一体どうなってわれわれの手元に届いているのか”と思いました。非常にわからないことだらけです。“電気はどうなっているのか”ということで、送電線が張り巡らされている仕組みを調べました。

現在の電力システムは、発電所が大規模で消費地から遠くにあり、発電所から消費地へと非常に大規模な送電線でつないでいます。その発電所と消費地を近づけてみたらどうなるか、省エネを進めてはどうなのかと考えてみました。これは現在のエネルギーシステムとは、若干異なるアプローチだと思います。そういったシステムで小規模な発電所とそれを受け入れる消費地を、できるだけ近づけて地産地消型のエネルギーネットワークというものができれば、現在原発事故で問題になったような極めて脆弱性のあるインフラに、ある程度は対抗できるものなのかということを考えました。

約一年半経ちましたが、小規模なソーラー発電所をメインに会津地方で幅広く展開をしております。現在50キロワットクラスの小さな発電所を21ヶ所、300キロワットを1ヶ所、1メガワットを1ヶ所で、合計2.5メガワットクラスの発電規模です。 

会津電力の今後についてご紹介したいと思います。現在は太陽光発電のみで展開しております。今年は、小規模の太陽光発電所を更に30ヶ所から40ヶ所へと増やしたいと考えています。

最終的なゴールとしましては、発電をして電力を売るというビジネスのみではなく、新しい商品やサービスを開発したいということを考えております。

例えばわれわれの仲間に、造り酒屋の酒屋がいることをご紹介しましたが、電力を酒造りに使って、完全に地場の自然の資源のみで高付加価値の商品を作りたいことで、いろいろな構想を練っております。その地域の特徴、会津であるがゆえの付加価値をなんとか搾りだして、それをビジネスにつなげていきたいと考えております。

その技術をわれわれが、上手く導入をしてその電力を消費者にお届けすることで、よりエネルギーの効率を高めて且つ快適な生活をもたらしたい。地産地消をエネルギーの分野でやってみることを目論んでおります。

司会:山田さん、ありがとうございました。では、続きまして菅家さん、よろしくお願いいたします。

 

 

3.「株式会社プレイノベーション」代表取締役社長 菅家元志氏

 

 

菅家元志氏(以下、菅家と略):只今ご紹介にあずかりました、株式会社プレイノベーションの菅家と申します。よろしくお願いいたします。

わたくしは現在、スマートフォンやタブレットで遊べる子ども向けのお絵かきアプリケーション、お絵かきマジックコレクション「マジコレ」というサービスを昨年の12月から提供しています。もともと福島県の郡山出身で、震災・原発事故当時は、東京の学生でした。その中で、避難所や仮設住宅のボランティア、および子ども支援の活動を通じて、「こんなに遊びってかけがえのないものだったんだ。」と痛感しました。

そういった思いから、遊びをもう一度見つめ直して、豊かな遊びを福島から日本中、世界中に届けていきたいという思いで起ち上げた会社が、株式会社プレイノベーションです。

先ほどのアプリができた経緯ですが、実際に子ども支援の活動していく中で、子どもが我慢しているなという瞬間を、避難所や仮設住宅等で感じることがありました。子どもは甘える経験がものすごく大事なんです。自分自身が感じたこと、作ったことそういったものを身近な大人に知ってもらい、受け入れられる中で、だんだん自信がついてきて、だんだん自立していき、挑戦できるような大人になっていきます。そういった時間や場所というものが福島をはじめ、日本全国で少なくなってきているのではないかと感じました。少しでもそういった状況を良くできないかと、小さなお子様でも楽しみながら自分のことを表現できる、お絵かき遊びを通じて親子が関わるきっかけをつくりたいと、このアプリの開発を開始しました。

こちらアプリ画面になっておりまして、皆さんも昔遊んだことがあるような点繋ぎ、間違い探しや知育系のコンテンツを毎月お便りで配信しています。

保護者ページでお子様が描いた後に、「今日こういうお絵かきをしましたよ。」と通知がきたり、遠方にいる親戚、ご家族にメールやSNSで共有できるような機能を持っております。コンテンツも実績のあるイラストレーターさん、福島出身の絵本作家さんに提供していただいております。

“親子の関わりが豊かになるきっかけ”をコンセプトとして、子どもが甘えたり表現できる時間を増やしたいと始めたのですが、その視点を親に向けると、実は親(保護者)も子どもと向き合う時間が欲しいと思ってもそれが叶わないと感じていることが分かりました。そこを少しでも、お絵かきという遊びを通じてきっかけづくりをしていきたいと思っております。さらに家族同士がつながるだけではなく、自分が住んでいる地域のつながりも生み出すことができるようなサービスにしていきたいと思います。 

子どもが描いたものをプレゼントしてあげるというものサービスもあり、子どもがアプリで描いた鬼をメールで送信すると、鬼のお面のデータになって返ってくる。

さらに「マジコレ」の新しいサービスの一貫で、子どもが描いたお絵かきがぬいぐるみになって届くというサービスを始めました。いろんな子どものあったらいいなを叶えていきたいと思っており、今後も子どもの描いたお絵かきがケーキになって届くサービスを準備しています。 

最後に「ふくしまから はじめよう。」で自分自身は、IT系のサービスの部分と、子どもの遊びというところの可能性を広げていく取り組みを福島からはじめて、全国の親子に喜んでもらえればと考えております。以上です。ありがとうございました。

司会:ありがとうございます。では続いて、丹波さんお願いいたします。

 

 

4.福島大学准教授 丹波史紀氏

丹波史紀氏(以下、丹波と略):福島大学の丹波と申します。よろしくお願いいたします。わたし自身ビジネスが専門ではありませんが、もともとは社会保障、福祉の領域で大学に来る前は、知的障害のある子どもたちの施設で職員として働いていました。

福島大学に赴任後は、災害のいろんな取り組みを、大学の中でやってまいりました。震災以降は、福島大学で避難所を開設をしたり、地域の住民の方々の震災の支援、被災地の支援活動を展開するNPOやNGOのネットワーク作りをしておりました。

先ほど、3名のかたからお話がありましたが、福島から新しいチャレンジをはじめていこうと様々な動きが出てきています。

震災から4年経ち、「福島を忘れるな」「被災地の現状に目を向けなければ」と激論で言いがちなのですが、福島に世の光を当ててやろうではなく、福島自身が世の光になっていかなくてはいけないのではないかと考えております。福島から生み出されていく一つ一つの光を、もっと増やしていく取り組みを進めていくということが大事ではないかなと思っています。個人、家族、地域、福島という地域そのものが、当たり前の尊厳を回復していくそのものが復興と思っています。そういう取り組みを被災者ではなく地域の一員として、あるいは福島の一員として、日本の一員としてきちんと向かい合って、役割を発揮することができるようになることが大事と思っています。

そして今後福島の再生に欠かせないのが、「人づくり」ではないかと常々考えるようになっています。特に原子力災害など再生には、長期に渡る粘り強い取り組みが必要になっています。廃炉に向けては、30年、40年という長い時間を要する長期戦になりますし、復興というステージから福島を創成していくステージを増やす上では、様々な地域の中で人が育って、それを支えていく人材が不可欠と思っています。今、復興の事業でいろんな取り組みがあります。ですが、外部の人だけではなく、担い手を福島から育てていくことも大事なのではないかと思います。

その一つとして、取り組んでいることを紹介します。原子力災害から地域再生プラス「ふくしま未来学」というのを福島大学にてCOC事業、先端コミュニティとして南相馬市や川内村で、地域実践的な学習を行っています。なぜやり始めたかというと、福島大学に通う学生は県外からの学生が半分で、4年間福島大学に通っても、福島の被災の現状をあまり知らないまま卒業する学生が意外に多かったためです。先ほどいろんな新しい社会的課題を解決しようとしている、菅家君(「プレイノベーション」代表取締役社長 菅家元志氏)のような先輩達の取り組みなどを学ぶことは学生にとって、非常に良い経験になります。福島の問題を解決していくことが、もしかしたら他の地域で就職するかもしれないけど、いろんな課題を解決していくノウハウや力をつけるチャンスになるのではと思いっています。 

また、菅家君も元事務局で、今年度は二期生としてこの取り組みを担っていただいていますが、地域の大学生だけではなく、20代や30代の福島の地域再生に思いを寄せる若い世代のリーダーを育てていこうと、ミュゼプラチナムの「株式会社ジンコーポレーション」の高橋さんや、「株式会社ピーエイ」の加藤さん、「クアルコムジャパン株式会社」の山田さん、今日こちらの会場を貸していただいてます「ぴあ株式会社」の矢内さん、そういった方々に発起人になっていただき「ふくしま復興塾」といった活動も行っております。

そして復興塾の塾生たちが中心となりながら福島県と連携して、「はじめっぺプロジェクト」を行っています。福島の問題解決のためには、「定住人口を増やして、交流人口を増やして」といわれるのですが、もう少し先の関心人口を増やすことも大事なのではないかと考えています。福島に移住したり、行き来を日常的にするわけではないのだけれど、福島に関心を寄せる人たちの人口を増やしていく取り組みを進めていきながら、サポーター人口を増やしていきコミュニティプラットフォームを作ろうということを、復興塾の発起人のかたを含めていろんな企業の人たちの参加も得ながらやっています。今日、「ふくしま復興塾」でも協力をしていただいています。キリン株式会社さんが「ふくしま復興塾」を応援していただき「はじめっぺ」事業にも協力をしていただいています。キリンさんは、「氷結和梨」というかたちで福島県産の和梨を使って、新しいCSR、CSVとして復興を応援していこうとされています。皆さん、帰りがけに見ていってください。本当に美味しいお酒で、僕自身も頂いて飲んでいますが、地域の企業が成り立っていく上でその生産者の人、生産者自身が持続的な生産活動ができるようにしていくための支援を、大手の企業と地元の人たちと一緒になって作りだした良い例だと思っています。そういう分野を先ほどのショップだけではなく、いろんな分野で広げていきながら、関心人口からサポーター役、プレイヤーを増やしていくような取り組みを進めていきたいと思います。

今日、企業関係者の方々がたくさんいらっしゃると思いますから、是非「はじめっぺ」のコミュニティプラットフォームに関心を寄せて頂いて、サポーターやプレイヤーに一緒になっていただきたいなと思っております。

少し長くなりましたが、わたしのほうから話をさせていただきました。

ありがとうございました。

 

 

パネルディスカッション中編はこちらをクリック。

 

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